アジアの金融センターとして緊迫した状況が続く香港を巡り、中国政府が大きな決断を下しました。国務院は2020年1月4日、香港における中央の出先機関である「中連弁」のトップ、王志民主任を解任したと発表したのです。2019年夏から激化している大規模デモ以降、香港政策に関わる要職の人事が動くのはこれが初めてとなります。事態の長期化に対する、北京政府の強い焦燥感がにじみ出る異例の更迭劇と言えるでしょう。
今回注目されている「中連弁」とは、中央人民政府駐香港特別行政区連絡弁公室の略称です。これは、中国共産党を中心とする中央政府の意向を香港の政財界へ伝える、いわば「統治のパイプ役」を担う極めて重要な機関を指します。解任された王氏は香港での勤務経験が豊富で、習近平国家主席とも近い関係にあると目されていました。しかし、激動する現地の実情を本国へ的確にレポートできていなかったとの見方が強まっています。
背景にあるのは、一向に収束の気配が見えない抗議活動と、2019年11月に実施された香港区議会選挙での民主派の圧倒的な勝利です。逃亡犯条例改正案への反発から始まった一連の騒動に対し、北京の指導部は「正確な情報が共有されていなかった」と憤りを募らせていました。ネット上でも「現場の声を軽視したツケが回ってきた」「更迭は当然の流れだ」といった、中国政府のインテリジェンス不足を厳しく指摘するSNSの声が目立ちます。
後任として白羽の矢が立ったのは、前山西省党委員会書記の駱恵寧氏です。地方政府のトップを歴任してきた実力派ですが、これまで香港との接点はほとんどありません。この未知数の人事に対し、SNSでは「実務重視の冷徹な引き締めが始まるのではないか」と警戒する見方がある一方で、「現地の複雑な利害関係を知らない人物に難局を乗り切れるのか」という懐疑的な意見も飛び交い、タイムラインは様々な予測で溢れかえっています。
さらに、中国政府が広東省深圳に「危機管理センター」という新たな拠点を設け、中連弁を飛び越えて直接情報収集を行っているという報道も浮上しました。これが事実であれば、出先機関の権限が大幅に縮小する可能性も否定できません。私は、今回の人事刷新が単なる責任転嫁に終わるか、あるいはより強硬な直接統治への布石となるのか、極めて重要な岐路にあると感じます。力による現状変更ではなく、民意に寄り添った対話の糸口が見つかることを切に願います。
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