スマートフォンのカメラ機能が進化を続ける中で、心臓部ともいえる「画像センサー」の市場に大きな変化が起きています。2019年10月から12月期の取引価格が、前期に引き続き横ばいで決着しました。本来、電子部品の世界では量産が進むほどコストが下がり、価格も安くなるのが一般的ですが、今回で5四半期連続の据え置きという、極めて異例な状況が続いています。
SNS上では、最新機種のカメラ性能に驚く声が上がる一方で、「なぜスマホの値段が下がらないのか」という疑問も散見されます。その答えの一つが、まさにこのセンサーの品薄状態にあるといえるでしょう。スマホ自体の販売台数は世界的に伸び悩んでいるものの、1台の端末に複数のカメラを搭載する「複眼化」が急速に進んだことで、センサーの需要が供給を上回る事態となっているのです。
「電子の目」を奪い合うスマホメーカーの戦略
今回注目されている「CMOS(シーモス)イメージセンサー」とは、レンズから入った光を電気信号に変えて映像化する半導体で、いわば「電子の目」としての役割を担っています。2019年9月20日に発売されたAppleの「iPhone 11 Pro」が背面に3つのカメラを備えて話題をさらいましたが、中国のファーウェイはさらに上を行く4つのセンサーを搭載したモデルを発表するなど、多眼化競争は激化の一途を辿っています。
このトレンドにより、かつては1台に1枚だったセンサーが、今や3枚も4枚も必要とされる時代になりました。高精細なメインカメラだけでなく、背景をぼかして一眼レフのような味のある写真を撮るための低画素センサーにも、メーカーからの注文が殺到しています。これほどまでに需要が集中すれば、価格が下がらないのも頷けますし、むしろ業界内では「手に入らない」という悲鳴すら聞こえてくるほどです。
ソニーら巨人の増産投資が未来を左右する
市場の約5割という圧倒的なシェアを誇るソニーは、このチャンスを逃さぬよう、長崎県に新工場の建設を決定しました。2021年4月の稼働を目指し、生産能力を大幅に引き上げる計画を進めています。また、韓国のサムスン電子も設備増強を急いでいますが、精密な半導体工場の建設には膨大な時間と費用がかかるため、すぐには品薄が解消されないのが現状の難しいところです。
個人的な見解として、このセンサー不足はスマホ業界にとっての試練であると同時に、日本の技術力が世界を牽引している証明でもあり、非常に誇らしく感じます。今後は自動運転車や工場の自動検品など、スマホ以外の分野でもこの「電子の目」の活用が広がっていくでしょう。2023年には世界市場が2018年比で6割も増加するという予測もあり、私たちの生活はより鮮やかな映像技術に支えられていくことになりそうです。
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