私たちの身の回りのスマートフォンや自動車に使われるアルミニウム合金。その強度を支える重要なレアメタルであるマグネシウムの価格が、今まさに大きな転換期を迎えています。レアメタルとは、地球上の存在量が少なかったり、抽出が難しかったりする希少な金属の総称です。2019年11月20日現在の市場動向を見ると、中国産の対日輸出価格は1トンあたり2180ドル前後まで下落しており、これは2018年の同時期と比較して2割も安い水準にあります。
この急激な値下がりの背景には、世界最大の供給国である中国の景気減速が深く関わっているようです。SNSなどのネット上でも「自動車の売れ行きが悪い影響がこんなところにも出ているのか」といった、実体経済の冷え込みを懸念する声が目立っています。実際に中国国内では新車販売の勢いが弱まっており、それに伴って工業生産全体が伸び悩んでいる状況です。その結果、主要な用途であるアルミ向けや鉄鋼向けの需要が目に見えて減退してしまいました。
供給過剰が招く市場の悲観論と今後の展望
需要の冷え込みに対し、供給側が無策だったわけではありません。内モンゴル自治区をはじめとする主要な生産地域では、一部で減産に踏み切る動きも見受けられます。しかし、専門商社のタックトレーディングの上島隆社長は、需要が縮小するスピードが供給カットを上回っているため、需給バランスはかなり緩んでいると分析しています。2018年は当局の環境規制によって工場が止まり、価格が高騰したこともありましたが、現在は供給が途絶える不安も解消されています。
市場関係者の間では、中国経済の停滞が長引くとの見立てから、さらなる安値を予想する悲観的なムードが漂っているのが現状でしょう。今後の見通しとしては、当面の間は1トンあたり2130ドルから2230ドルの範囲内で推移する可能性が高いと予測されています。編集者としての私の視点では、素材価格の下落は短期的には製品のコストダウンに寄与するものの、その裏にある世界規模の消費停滞は決して無視できないリスクだと感じています。
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