アジア屈指の学術拠点として名高い中国・上海の復旦大学において、大学の根本的な理念を定めた憲章から「思想の自由」という極めて重要な言葉が削除され、世界中に大きな衝撃が走っています。さらに今回の改定では、中国共産党による指導体制を最優先に据える方針が新たに書き加えられたため、学問の多様性を重んじる学生たちの間で瞬く間に激しい動揺が広がりました。
この異例の事態に対し、キャンパス内ではかつての理念を惜しむ学生たちが「思想の自由」の文言が含まれる伝統的な校歌を歌い、静かながらも強い抵抗の意思を示しています。インターネット上のSNS空間でも、大学側の決定を批判する書き込みが相次いで投稿されましたが、これらは中国当局の厳しい情報検閲によって瞬時に削除され、力ずくで抑え込まれる事態となりました。
中国全土へ広がる学問への統制と変化する教育方針
このような教育機関への介入は、決して復旦大学だけの特異な事例にとどまりません。2020年1月8日の時点で、中国人民大学や南京大学、さらには陝西師範大学といった主要な名門校でも、同様に党の指導を絶対視する文言が次々と憲章に組み込まれていることが判明しており、現場の教育関係者からは、政権の意向に忠実な人材育成がこれまで以上に強く求められているという本音が漏れ聞こえています。
現在の習近平指導部は、国家が目指すべき指針として「社会主義核心価値観」という12個の重要ワードを掲げており、その中には意外にも「自由」や「民主」といった普遍的な価値が含まれています。それにもかかわらず、なぜ教育の現場から自由が排除されるのでしょうか。ある関係筋は、大学の幹部たちが保身や出世のために「忖度(そんたく)」を行い、自ら学問の独立性を放棄した結果であると厳しく指摘しています。
驚くべきことに、こうした過剰な政治傾倒に対しては、普段は政権寄りの保守的な論調を展開する共産党系メディア「環球時報」の胡錫進総編集長すらも危機感を表明しました。同氏は、過度な政治的正しさの追求は国民の反発を招き、社会を分断するリスクがあると強い警告を発しており、国家の未来を担う教育現場の行き過ぎた変化に冷や水を浴びせています。
一連の動向を顧みると、教育という聖域が政治の道具として扱われる現状には強い懸念を抱かざるを得ません。学問の独立性や批判的思考こそが、新しいイノベーションや健全な社会の基盤となるはずです。目先の政治的評価のために教育者がその誇りを捨て去ることは、結果として国家の知的競争力を削ぐことになりかねず、いま一度教育の本質を見つめ直すべきでしょう。
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