ラグビーというスポーツは、イギリスの高貴なエリート校「パブリック・スクール」の必修科目として歴史を刻んできました。実はこれ、未来の経営トップや指導層を育成するために最適な競技だからなのです。
日本国内でも多くのビジネスリーダーがラグビーを経験しています。2020年1月7日に幕を閉じた第99回全国高校ラグビー大会、通称「花園」では、名だたる進学校がグラウンドで躍動し、大きな注目を集めました。
その中でもひときわ輝きを放ったのが、埼玉県立浦和高校です。2019年度には東京大学に41人もの合格者を輩出した超一級の進学校でありながら、6年ぶり3回目となる花園への切符を掴み取りました。
ネット上でも「まさに文武両道の極み」「これぞ日本の教育が目指すべき姿」と、多くの称賛の声が飛び交っています。スポーツ推薦枠が一切ない環境で、彼らは一体どのようにして全国の強豪と渡り合ってきたのでしょうか。
徹底された効率化と「全員が主将」という主体性
2019年12月に浦和高校の練習拠点を訪れると、そこには驚くべき光景が広がっていました。なんと51人の部員のうち、ラグビーの経験者はわずか3人しかいません。
活動時間も限られており、週に5日の2時間練習が基本です。さらに試験期間中の部活動は禁止という厳しい制約の中で、彼らは驚異的な集中力を発揮します。
12月下旬から始まる花園の期間中も、高校3年生は2020年1月中旬に控える大学入試センター試験に向けて、夜9時まで勉強を続けていました。練習の質も決して落としません。
SNSでは「限られた時間で成果を出す姿は、現代の働き方改革のお手本のようだ」というビジネスマンからの意見も散見されます。彼らの強さの秘密は、まさにこの圧倒的なマネジメント力にあると言えます。
三宅邦隆監督は、事前に無料通信アプリのLINE(ライン)を活用して練習の目的を共有し、部員たちは無駄なく円滑にメニューを消化していきます。
練習中、選手たちは小さな輪を作って活発に意見を交わします。そこでは誰もが主将であるかのように堂々とプレーの指示を出しているのです。監督は「放任ではなく観察を続け、進むべき道を修正する材料を渡すだけ」と語ります。
未経験の壁を打ち破る!現代の知略とSNS活用術
競技経験の差を埋めるため、選手たちは各々が創意工夫を凝らしています。司令塔であるスタンドオフという、チームの攻撃を組み立てる重要なポジションを担う2年生の東島和哉さんは、中学時代はサッカー部でした。
彼は動画投稿サイトのYouTube(ユーチューブ)で熱心に試合を研究し、SNSのTwitter(ツイッター)を通じて現役のトップ選手に直接質問を送り、高度な技術を貪欲に吸収していったそうです。
その結果、チームが共有するサインプレーは30個にも及びます。ラグビーを深く理解しようとする知性によって、経験の差は一瞬で埋まりました。
こうした現代的なアプローチに対して、ネット上では「ただ闇雲に練習するのではなく、デジタルを駆使して自ら学ぶ姿勢が素晴らしい」と、感嘆の声が上がっています。
環境の不利を跳ね返した彼らは、本大会で岡山代表の玉島高校と青森代表の青森山田高校を相次いで撃破しました。
3回戦では、今大会の優勝校である神奈川の桐蔭学園高校の前に立ちはだかれましたが、彼らの最大の武器である「モール」と呼ばれる集団で塊になって押し込むプレーから、執念の1トライをもぎ取ったのです。この「ウラコー」旋風は、全国の受験生やラガーマンに計り知れない勇気を与えました。
理不尽を生き抜くラグビー精神こそ、現代の企業に必要な特効薬
ラグビーは、前に進むためにボールを後ろに投げなければならず、相手に倒されたら即座にボールを手放さないと反則になるという、一見すると矛盾に満ちた競技です。
まさに「社会の理不尽さが凝縮されたスポーツ」と言えるでしょう。激しい身体のぶつかり合いの中で、お互いがルールを厳格に守り、審判の判定に絶対服従しなければ試合は成立しません。
私は、この浦和高校の挑戦から、現代の日本企業が学ぶべき重要な本質が見えてくると確信しています。
人材不足や変化の激しいビジネス環境において、上意下達の組織はもはや通用しません。
不条理なルールや困難が次々と襲いかかる現代社会だからこそ、浦和高校の選手たちのように自ら考え、判断し、多様なバックグラウンドを持つ仲間と協調する力が求められているのではないでしょうか。
彼らが証明した効率的な組織のマネジメントと、逆境を楽しみながら成長する「ノーサイド」の精神は、これからの日本のビジネス社会における人づくりの強力な羅針盤となるに違いありません。
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