2020年1月10日の東京株式市場において、産業用ロボット大手である安川電機の株価が急上昇を見せました。前日比で一時200円、率にして5%高となる4465円を記録し、約1カ月ぶりに昨年来高値を更新したのです。この躍進の背景には、前日に発表された最新の決算内容が深く関係しています。市場の期待を大きく超えるポジティブな兆候が示されたことで、機関投資家を中心にまとまった買い注文が流入しました。
最終的な終値も前日比4%高の4415円と高値を維持しており、当日の売買代金は前日から8割も増加して270億円規模にまで膨らんでいます。これほど活発な取引を伴った株価の上昇は、市場における同社への関心の高さと、今後の業績先行きに対する信頼感の現れと言えるでしょう。SNS上でも「安川電機の決算から風向きが変わった」「製造業の底打ち感が強まってきた」といった、今後の市場活性化を期待する声が多数見られました。
中国市場の劇的な改善と5G・データセンター需要の追い風
今回注目されたのは、2019年9月から2019年11月期における四半期決算の受注実績です。全体の受注高は前年同期比で11%減少したものの、マイナス幅は2四半期連続で縮小する傾向を見せています。とりわけ市場を驚かせたのは中国市場からの受注であり、前四半期の21%減という厳しい数字から、今回はわずか3%減にまで劇的な回復を遂げました。この急改善が、中国の設備投資マインドの復活を強く印象付けています。
その原動力となったのが、最先端技術を支えるコア部品やロボットの存在です。具体的には、世界的なITインフラ拡充に伴うデータセンター向け工作機械の駆動部品である「サーボモーター」が大きく売上を伸ばしました。これは電気信号を正確な位置や速度の動きに変換する精密なモーターのことです。さらに、次世代通信規格である「5G」の関連機器製造に使われる産業用ロボットなども、中国国内での需要を牽引する形となりました。
製造業の先行指標としての役割と今後の投資判断への視点
安川電機は2月期決算を採用しているため、一般的な3月期決算の主要メーカーよりも一足早く業績が開示されます。そのため、製造業や設備投資関連の動向を占う重要な「先行指標」として、投資家から常に熱い視線が注がれる存在です。今回の好決算を受けて市場には安心感が広がり、同業のファナックの株価が2%上昇したほか、工場自動化を意味する「FA(ファクトリーオートメーション)」関連銘柄全体へ買いが波及しました。
一方で、現在の同社の株価収益率、いわゆるPERは60倍台に達しており、競合のSMCが33倍台であることと比較すると、やや割高感が意識される水準にあります。PERとは株価が1株当たり純利益の何倍まで買われているかを示す指標で、期待値の高さを示すと同時に慎重な見方も生みます。専門家からは、自動車市場の回復はまだ慎重に見極めるべきだという指摘もあり、今後の持続的な成長には世界的な産業の復調が鍵を握るでしょう。
編集部がみる今後の展望とメッセージ
今回の株価急上昇は、長らく冷え込みが懸念されていた米中貿易摩擦などの影響から、世界の製造業がいよいよ反転攻勢へ向かう号砲であると感じます。5Gやデータセンターといった最先端インフラへの投資は一過性のものではなく、今後の社会基盤を支える長期的なトレンドです。足元の株価指標にはやや過熱感も見られますが、安川電機が示す現場のリアルな数字は、世界経済の底堅さを証明する明るい材料として評価すべきだと考えます。
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