日本の印刷インキ大手であるサカタインクス株式会社が、グローバル展開を加速させる驚きのニュースを発表しました。2020年1月20日、彼らはドイツの伝統あるインキメーカー「A.M.Ramp & Co. GmbH(通称・AMラム)」を買収することで合意したと明かしたのです。取得金額は公表されていませんが、数十億円規模にのぼると推測されています。同社は2020年6月末までにすべての株式を買い取り、完全子会社にする計画を進めており、これによって欧州市場での覇権争いに本格的に名乗りを上げました。
買収相手であるAMラム社は、1857年創業という圧倒的な歴史を誇る老舗企業です。2018年の売上高は約37億円(3000万ユーロ)を記録しており、中央ヨーロッパを中心に強固な基盤を築いてきました。これまでサカタインクスは、英国やフランスを主軸に食品のパッケージ(包装材)向けインキの販売を展開しています。ここにドイツや東欧、さらにロシアにまで広がるAMラム社の強力な流通ネットワークが加わるため、欧州全域でのシェア拡大が一気に現実味を帯びてきたと言えるでしょう。
成長市場への投資と黒字化へのシナリオ
ここで注目したいのが、サカタインクスが海外へ打って出る背景です。彼らの2018年12月期における欧州向け印刷インキの売上高は約93億円で、全体のわずか6%程度にすぎません。さらに欧州事業単体では約7億9000万円の赤字を計上しているのが現状です。しかし、成熟して頭打ち感のある日本国内市場が前年比0.1%減と落ち込む一方で、欧州市場は前年比6.2%増という目覚ましい成長を遂げています。縮小する国内を飛び出し、伸び盛りの海外に活路を見出すのは当然の戦略です。
今回の買収を機に、同社は生産拠点の整理統合や効率化を一気に推し進める方針を掲げています。この大胆な構造改革によって、2021年12月期には欧州事業の黒字化を達成するという明確なロードマップを描いているのです。今回の決断について、インターネット上のSNSでは「人口減少が続く日本から、成長が期待できる海外のニッチトップを狙う動きは非常に合理的だ」「日本の優れた技術力とドイツの老舗の信頼感が融合すれば、食品パッケージ分野で最強のタッグになるのでは」と期待の声が寄せられています。
編集部の視点としても、この買収劇は極めて打当な一手だと評価できます。現在のトレンドとして、環境規制が厳しい欧州では安全性の高い食品包装向けインキの需要が爆発的に高まっているからです。赤字事業への追加投資は一見するとリスクに見えますが、時間を金で買う買収によって、自前では構築に時間がかかる販売網を即座に手に入れた意義は大きいでしょう。効率化を進めて2021年に黒字転換できるか、サカタインクスの真価が問われるのはまさにこれからです。
コメント