教育業界の巨頭であるベネッセホールディングスが、大人の学び直し市場へ本格的に舵を切りました。同社は2020年04月に、短期集中型英語教室のトップランナーである「スタディーハッカー」の株式を過半数取得し、グループ傘下に収めることを発表したのです。
少子化の波が押し寄せる現代において、確かな未来の成長の種を「社会人教育」に見出した戦略と言えるでしょう。企業活動が急速にグローバル化する中で、ビジネスパーソンによる効率的な語学学習へのニーズは、かつてないほどに高まっています。
高額でも人気沸騰の「第二言語習得研究」とは?
スタディーハッカーが2015年から展開する「ENGLISH COMPANY」は、3ヶ月で受講費が約50万円と、決して安くはありません。それにもかかわらず、わずか5年間で8000人以上が受講した実績を持ち、SNSでも「目から鱗の指導法」と大きな反響を呼んでいます。
人気の秘密は、科学的なアプローチにあります。ここで導入されている「第二言語習得研究」とは、人間が母国語以外の言語をどのように身につけていくかを解き明かす学問のことです。この知見をベースに、個人の課題へ的確にアプローチする手法が支持されています。
従来の成人向け語学教室の市場が足踏みを続ける一方で、個別のマンツーマン指導や短期集中型のサービスは、著しい成長基調にあります。社内での昇格や海外への赴任、さらには採用の現場でも、シビアに即戦力の英語力が問われる時代が到来しているからでしょう。
激化するライバル争いとベネッセが描く未来予想図
ただ、この有望なマーケットは、すでに群雄割拠の戦国時代を迎えています。2016年に参入したRIZAPグループや、同じく2016年創業のプログリットといった強敵が急速にシェアを拡大しており、顧客をめぐる競争は一段と激しさを増す一方です。
専門知識を持つ講師の採用難から、需要があっても受講生を捌ききれなかったスタディーハッカーにとって、ベネッセの持つ圧倒的な知名度は何よりの武器になります。今後は強固な経営基盤のもとで、さらなる生徒の受け入れ体制を整えていく方針です。
主力である「進研ゼミ」の会員数目標を2019年に事実上撤回したベネッセは、既存のビジネスモデルからの脱却が急務でした。赤字が続く「ベルリッツ」のオンライン強化や、米国発の学習サイト「Udemy」との提携など、本気の大人の学び改革が始まります。
私自身の視点としても、この買収劇は日本の社会人教育の質を大きく引き上げる起爆剤になると確信しています。ベネッセの資本力と、科学的な英語学習ノウハウが融合することで、日本のビジネスパーソンの世界進出を後押しする素晴らしいサービスが誕生するはずです。
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