トレンドを押さえた最先端のファッションを、驚きの低価格で提供し続ける衣料品ブランド「GU(ジーユー)」。ファストファッション界を牽引する同社を率いる柚木治社長が、2020年の新たな事業戦略と展望を熱く語りました。これまでも大衆向けの「マス」商品に注力してきた同社ですが、本年はさらにその精度を高めていく構えです。これにはSNS上でも「最近のGUはハズレがない」「欲しいデザインが絶妙なタイミングで発売される」と、早くも期待の声が多数寄せられています。
現代のビジネスにおいて、消費者が持つ情報量やトレンドへの感度は、かつてないほどに高まっています。柚木社長は「本当に顧客が神様になってしまった」と表現しており、着心地の良さや低価格、そしてデザイン性のすべてを求める贅沢なニーズに応える難しさを実感しているようです。しかし、すべての要望をそのまま受け入れていては、生産の効率が低下してしまいます。そこでGUは、消費者のリアルな声を徹底的に分析し、誰もが納得する最高のバランスを追求する決意を固めました。
DtoCの思想を取り入れた圧倒的なスケール感
2020年の大きな挑戦として掲げられているのが、消費者の潜在的なニーズを起点とした商品の企画と開発です。この手法は、店舗を持たずにインターネットを通じて直接顧客へ販売する「DtoC(Direct to Consumer)」と呼ばれる新興ブランドのビジネスモデルに通じるものがあります。中間マージンを省いて顧客の声を即座に反映させるこのトレンドを、GUは独自の強みである「数十万単位の初期投入」という圧倒的なスケール感で実践し、他社との差別化を図る方針です。
インターネットと実店舗を融合させた「パーソナルコンシェルジュ」のような存在を目指す動きからも目が離せません。スマートフォンを使えば、おすすめのコーディネートや在庫状況が瞬時に把握できる時代だからこそ、利便性の向上が急務です。消費者は大型店で実際に試着を楽しみ、仕事帰りや買い物のついでに、生活圏内にある便利な店舗で商品を受け取ることができます。このような、デジタルとリアルが滑らかにつながる快適な買い物体験は、現代人のライフスタイルに深く突き刺さるでしょう。
驚異の「990円パンツ」を支える生産改革
過去にファッション性を追求しすぎた結果、売れ残りの値下げが目立ってしまった苦い経験を、GUは真摯に受け止めています。無駄な値下げを無くすための具体策として、最初の生産量を従来の50%に抑え、売れ行きを鋭く見守りながら追加生産していく仕組みを導入しました。この素早い生産体制を確立するため、大人用と子供用の衣類の素材を共通化し、生地の調達から縫製までを一貫して管理しています。1000円を切る価格で話題の「990円パンツ」は、まさにこうした企業努力の結晶です。
同じグループに属する「ユニクロ」との関係性についても、柚木社長は前向きな相乗効果を強調しています。商業施設などで隣接して出店することにより、消費者が求めるテイストに応じて上手に買い分けている様子が見受けられます。ベーシックで最高品質を追求するユニクロに対し、GUは最新のトレンドをどこよりも安く、かつ安心の品質で提供するという明確な違いがあります。お互いの強みを活かし合うことで、市場での「食い合い」を避け、顧客満足度を高めることに成功しているのです。
有明オフィスへの移転と海外展開の加速
2019年夏に東京都江東区の有明へと事務所を移転したことも、社内の雰囲気に大きな変化をもたらしています。全部署がワンフロアに集約されたことで、マーケティングや生産といった異なる部門間での情報交換が劇的に増加しました。オフィス内には商品のサンプルや模擬売り場が用意されており、アイデアが浮かべばその場で即座に議論が可能です。ユニクロの優れた業務プロセスも柔軟に取り入れながら、組織としてのスピード感をさらに加速させています。
今後のグローバル展開については、2020年8月期までに海外の店舗数を40店舗まで拡大する計画が進行中です。中国や韓国でのビジネスを確実に黒字化させ、成長軌道に乗せた後は、急成長を遂げる東南アジアへの進出も視野に入れています。将来的にはユニクロが店舗を構えるすべての国へ進出するという大きな野望を抱いており、世界へと羽ばたくGUの勢いは留まることを知りません。日本発のファストファッションが世界を席巻する日を、私たちは目撃することになるでしょう。
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