2020年東京五輪の開幕まであと半年に迫る中、大会の足となる輸送インフラに深刻な影が差しています。選手や関係者の移動を支えるためのバス本体はすでに2000台が確保されたものの、それを操るドライバーが約400人も不足しているのです。大会組織委員会は必死の交渉を続けていますが、事態の打開は容易ではありません。
インターネット上やSNSでもこの問題は大きな注目を集めており、「ただでさえ普段からバスが減便していて大変なのに、五輪まで支えきれるのか」「日本のドライバー不足が世界に露呈してしまうのではないか」といった、大会の円滑な運営を不安視する声が続出しています。
慢性的な人材難と夏の繁忙期が重なる大ピンチ
2019年12月中旬の時点で確保できた運転手は約2620人ですが、交代制勤務を維持するには最大3000人が必要とされています。組織委は関東や中部、近畿など計930の事業者に派遣を打診しているものの、色よい返事は得られていません。なぜなら、現在の日本は空前のインバウンド、つまり訪日外国人旅行者の急増に沸いているからです。
招致段階の2013年と比べ、2018年には訪日客が3100万人へと激増しました。さらに五輪が開催される夏場は、レジャーや帰省による観光バスの需要がピークを迎える繁忙期に当たります。ある事業者の担当者が「自社の営業を考えれば断らざるを得ない」と吐露するように、現場には他へ人員を割く余裕など皆無なのが実情でしょう。
高すぎる求人倍率と都内の複雑な道路という壁
厚生労働省のデータによると、2019年11月時点のドライバー職の有効求人倍率は3.28倍に達し、全職種の平均値である1.48倍を大きく上回っています。これは、求職者1人に対して3件以上の求人があるという極端な売り手市場を意味します。労働時間の長さなどが敬遠され、全国で1万人以上の運転手が不足している計算になります。
各社は女性専用の更衣室を設けるなど環境改善に努めていますが、「数人確保するだけで精一杯」という声が上がっています。また、地方の会社からは、交通量が多く道路網が極めて複雑な東京都内を走ることに、ドライバー自身が強い抵抗感を抱いているという本音も漏れており、心理的なハードルも高いようです。
自衛隊要請の噂も?安全な運行に向けた本質的な解決を
困り果てた政府関係者からは、大型自動二輪やバスの運転に必要な「大型自動車第二種免許」の保有者が多い自衛隊へ出動を要請すべきだという声まで浮上しています。しかし、専門家からは、五輪のために急激に人員をかき集めれば、慣れない環境での運行による事故のリスクが高まるとの警鐘が鳴らされています。
一過性の対策として自衛隊に頼るような形になれば、日本の観光業や公共交通の持続可能性に疑問符が付きかねません。これを機に、給与水準の大幅な引き上げや労働環境の抜本的なホワイト化を推し進めるべきです。五輪の成功はもちろん、日本の社会基盤を守るためにも、今こそ国を挙げた待遇改善の決断が求められていると言えるでしょう。
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