2020年01月29日、アメリカの政治を揺るがす巨大なドラマがワシントンで展開されています。トランプ大統領の罷免(職を強制的に辞めさせること)を巡る上院の弾劾裁判において、与野党の駆け引きがこれまでにないほど激化しているのです。事の発端は、かつて政権の中枢にいたボルトン前大統領補佐官が2020年03月に出版を予定している著書の内容でした。トランプ氏の不正を裏付ける決定的な記述があると報じられ、全米に大きな衝撃が走っています。
SNS上でもこのニュースは瞬く間にトレンド入りを果たし、「ついに決定的な証拠が出るのか」「大統領選への影響は避けられない」といった驚きの声が相次いでいます。今回問題となっているのは、いわゆる「ウクライナ疑惑」と呼ばれるものです。これはトランプ氏が、大統領選のライバルである民主党のバイデン前副大統領を不利にするため、ウクライナ政府に対してバイデン氏の親族の疑惑を調査するよう圧力をかけたのではないか、という政治的なスキャンダルを指します。
米メディアの報道によれば、ボルトン氏は著書の中で「ウクライナが調査を始めるまで軍事支援を停止する」とトランプ氏が語っていたことを暴露しているそうです。これは「支援停止と調査要求は無関係だ」と主張してきたトランプ氏側の説明を真っ向から覆すものに他なりません。これを受け、野党・民主党のシューマー院内総務は2020年01月27日に「弾劾条項を事実上裏付けた」と記者団に熱弁を振るい、ボルトン氏を証人として裁判に呼び出すよう激しく求めています。
この一撃は、身内である与党・共和党の足元をも大きく揺さぶりました。これまで新たな証人の招致は不要だと突っぱねていた共和党議員たちからも、内容を精査すべきだという声や、証人招致を否定しない姿勢を示す者が現れ始めています。裁判で新たな証人を呼ぶには上院の過半数の賛成が必要となるため、共和党から4人の造反者が出れば勢力図は一気に変わるでしょう。緊迫した空気のなか、早ければ2020年01月31日にもその採決が行われる見通しです。
しかし、共和党もただ黙って見ているわけではありません。トランプ氏に近いグラム上院議員は2020年01月27日、ボルトン氏を呼ぶのであれば、バイデン氏の息子であるハンター氏の証言もセットにすることを条件として突きつけました。ハンター氏はウクライナのガス会社幹部を務めていた経歴があり、共和党側は「ボルトン氏だけを呼ぶのは不公平だ」と主張して民主党に揺さぶりをかけています。まさに一歩も引かない泥沼の心理戦が展開されていると言えます。
歴史を振り返れば、身内の暴露によって窮地に陥る政権の姿は、いつの時代も政治の非情さを物語っています。今回のボルトン氏の動向は、単なる暴露話にとどまらず、アメリカの民主主義の根幹を揺るがす一大事として捉えるべきでしょう。2020年02月03日からは大統領選の指名争いが本格的に幕を開けますが、もしハンター氏が裁判に引っ張り出されれば、選挙戦の行方にも莫大な影響を及ぼすのは確実です。世界が注目するこの裁判から、今後も一瞬たりとも目が離せません。
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