情熱の国メキシコがいま、経済の大きな転換期を迎えています。2019年07月08日現在、同国の景気減速に歯止めがかからない深刻な事態が続いています。今年の「実質経済成長率」は、世界的な金融危機が直撃した2009年以来、実に10年ぶりという低水準にまで落ち込む見通しとなってしまいました。活気ある市場が魅力だった同国に、一体何が起きているのでしょうか。
実質経済成長率とは、国全体の経済規模がどれだけ拡大したかを示す指標で、物価の変動による影響を取り除いて算出されます。この数値が低いということは、国の経済が停滞し、人々の暮らしが豊かになりにくい状況を意味するのです。かつての新興国ブームの主役だったメキシコが、これほどまでの苦境に立たされている事実に、世界中の投資家や市場関係者が冷ややかな視線を送っています。
景気低迷の最大の要因とされているのが、2018年末に就任した左派、ロペスオブラドール大統領による強引な政権運営です。彼は庶民派を自認していますが、その政策はビジネス界に大きな動揺を与えています。特に新空港建設の中止など、前政権が進めていたプロジェクトを次々と白紙撤回する手法は、企業が安心して資金を投じる「投資環境」を著しく悪化させてしまったと言えるでしょう。
強まる不透明感と国民生活への深刻な影響
投資が落ち込めば、当然ながら新しい雇用は生まれません。2019年07月08日現在の報告では、雇用の停滞から個人の消費マインドも冷え込み、悪循環に陥っている様子が浮き彫りになりました。SNS上では「生活が苦しくなる一方だ」「大統領の理想は理解できるが、まずは経済を立て直してほしい」といった悲痛な声が溢れており、国民の不安は日に日に増大しているのが現状です。
さらに追い打ちをかけているのが、隣国アメリカとの関係悪化です。トランプ政権は不法移民対策を巡り、メキシコからの輸入品に対して追加関税を発動するという揺さぶりをかけ続けています。この貿易摩擦が解決しない限り、輸出拠点としてのメキシコの魅力は損なわれ、外資系企業の投資意欲が回復することは極めて難しい状況だと言わざるを得ません。
私自身の見解としては、国家の安定には理想だけでなく、経済的な裏付けが不可欠だと考えています。ロペスオブラドール大統領の格差是正という志は尊いものですが、市場の信頼を損なう急進的な政策は、結果的に守るべき国民の首を絞めることになりかねません。世界経済が不透明な今こそ、現実的で安定した政策運営への舵切りが、メキシコには強く求められているのではないでしょうか。
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