2019年6月3日、テニスのグランドスラムの一つ、全仏オープンテニス(フレンチ・オープン)の男子シングルス4回戦で、日本のエース・錦織圭選手(日清食品)が、地元フランスのブノワ・ペール選手(世界ランキング38位)を相手に、フルセットにもつれ込む大激戦の末、6-2、6-7、6-2、6-7、7-5で辛くも勝利を掴み取り、見事に準々決勝へ駒を進めました。この勝利は、錦織選手にとって4大会連続となる四大大会でのベスト8進出という偉業達成を意味し、世界ランキング7位としての最低限の責務を果たしたと言えるでしょう。
前日2日の試合途中で日没による順延となり、日を改めて行われたこの一戦は、まさしく体力の限界に挑むタフな試合展開となりました。特に、試合再開後の第4セットでは、タイブレークという緊迫した状況で、錦織選手は絶対的に有利な自身のサービスゲームで2度のマッチポイントを握りながら、これを決めきることができず、セットを落としてしまいます。この瞬間、一気に流れが相手に傾きかねない、「勝てる試合を逃す典型的な負けパターン」が頭をよぎった読者の方も多かったことでしょう。SNS上でも「なんで決めきれないんだ!」「大坂なおみ選手みたいにこのまま負けてしまうのか…」といった、ファンからの焦りや懸念の声が多数見受けられました。
第5セットに入ると、錦織選手は先にブレークを許す苦しい展開となり、「もう勝利は無理かもしれない」とさえ感じたようです。しかし、この土壇場の状況で、勝利を目前にして硬さを見せたペール選手のミスにも助けられ、なんとか逆転へと繋げることができました。敗れたペール選手も、「通常なら第3セットか第4セットで決着がついていた試合。だが、第5セットまで持ち込めば、本来なら私が勝つべきだった」と、悔しさを滲ませています。3回戦でも4時間26分という消耗戦を強いられた錦織選手は、勝利を目前にしての詰めが甘い点を反省すべきか、それとも極限のピンチでの勝負強さを称賛すべきか、意見が分かれるところではないでしょうか。しかし、この泥臭い勝利こそが、彼がトッププレイヤーであることを証明していると感じています。
そして、この激闘の勝利の直後、錦織選手が次に挑む相手は、テニス界における「赤土の王者」として君臨するラファエル・ナダル選手(スペイン)です。全仏オープンの開催地である「ローランギャロス」において、ナダル選手は史上最多となる11度の優勝を誇り、通算戦績はなんと90勝2敗という、まさに異次元の強さを誇っています。彼が放つ強烈なトップスピンが効いたショット、これはボールに順回転をかけることで、クレーコート(赤土)上で一段と跳ね上がり、相手の体力を奪う非常に強力な武器となりますが、これがクレーコートを得意とするナダル選手の強さを際立たせているのです。
体力的にも精神的にも全く死角が見当たらないナダル選手に対し、錦織選手の過去の対戦成績は2勝10敗と大きく負け越しており、特にクレーコートでは4戦全敗という厳しいデータがあります。直近では、2013年の全仏オープン4回戦で、わずか8ゲームしか奪えなかった苦い記憶も残っています。連戦による疲労を隠せない錦織選手自身も、「体をフレッシュな状態に戻すのは不可能に近く、どこまで回復できるかも分からない。(ナダル選手を)崩すのは大変難しい」と語りつつも、「頑張る」と決意を表明しています。2019年6月4日の準々決勝では、この「赤土の絶対王者」を相手に、錦織選手が疲労を乗り越え、少しでも長く、自身のテニスを見せてくれることを期待せずにはいられません。
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