2019年07月19日、韓国・光州で開催されている世界水泳選手権のアーティスティックスイミング(AS)にて、若き才能が大きな壁に直面しました。デュエット・フリールーティン(FR)に臨んだ吉田萌選手と乾友紀子選手のペアは、メダル争いのライバルであるウクライナに1.1点差をつけられるという、非常に厳しい結果を突きつけられています。初めての世界選手権という大舞台において、吉田選手にとっては世界のトップレベルが持つ圧倒的な威圧感を肌で感じる、ほろ苦い経験となったようです。
今大会から本格的にペアを組むことになった二人は、テクニカルルーティン(TR)を経てこのフリールーティンに挑みました。テクニカルルーティンとは、規定された要素を正確にこなす技術力が問われる種目ですが、そこでの課題を胸に、今回の演技では特に「勢いと力強さ」を前面に押し出す戦略を立てたといいます。しかし、音楽が進行し演技が熱を帯びるにつれて、日本代表のエースとして長く君臨する乾選手と、代表2年目の吉田選手の間にある技術的な乖離が徐々に露呈してしまいました。
具体的に課題として浮き彫りになったのは、水面上に体を突き出す「高さ」の維持です。アーティスティックスイミングにおいて、高さは身体能力と技術力の象徴であり、審判に与える印象を大きく左右するポイントとなります。演技の終盤にかけて、スタミナを消耗する中で乾選手の高い水準に合わせ続けることは容易ではありません。ウクライナとの点数差が開いた要因も、こうした細かな完成度の積み重ねにあると考えられ、吉田選手自身も「良い流れを作れず悔しい」と率直な胸の内を明かしています。
SNSでの反響と次世代エースへの期待
この結果を受けてSNS上では、「乾選手の圧倒的な安定感に食らいつこうとする吉田選手の姿勢に感動した」という温かい声が多く寄せられました。一方で、一部のファンからは「やはりウクライナの壁は厚い」「五輪までにどこまで差を詰められるか」といった、来年に控えた東京五輪を見据えた厳しい意見も散見されます。しかし、代表入りしてまだ日の浅い吉田選手が、世界最高峰の舞台でこれほどのプレッシャーを背負いながら戦い抜いたこと自体、日本チームにとって大きな収穫と言えるでしょう。
編集者の視点から申し上げれば、この「1.1点」という差は決して絶望的な数字ではありません。むしろ、乾選手という世界屈指の手本が隣にいる環境は、吉田選手にとってこれ以上ない成長のチャンスではないでしょうか。アーティスティックスイミングは、ペアの同調性(シンクロナイゼーション)が命です。個々の能力だけでなく、二人の呼吸が完璧に一致したとき、得点は飛躍的に伸びる傾向にあります。今回の挫折をバネにして、彼女がどれほど化けるのかに注目が集まります。
「過ぎ去った時間は戻せないけれど、次は必ず勝てるようにしたい」と、絞り出すような声で決意を語った吉田選手の表情には、次戦への強い執念が宿っていました。2020年の東京五輪で表彰台に登るためには、今回煮え湯を飲まされたウクライナは絶対に越えなければならない宿敵となります。2019年07月19日のこの悔しさが、日本代表の歴史を変える重要なターニングポイントとして記憶されることを願って止みません。彼女たちの挑戦は、まだ始まったばかりなのです。
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