2019年07月21日に投開票が行われた参議院選挙の滋賀選挙区において、前滋賀県知事である嘉田由紀子氏が見事に当選を果たしました。この結果は、現在議論が再燃している「大戸川ダム」の建設計画に対して、非常に大きな一石を投じることになりそうです。滋賀県政で長年リーダーシップを発揮してきた彼女の国政復帰は、建設を推進したい国土交通省にとって、無視できない強力なプレッシャーとなるでしょう。
そもそも大戸川ダム計画とは、淀川水系の治水を目的として滋賀県大津市に建設が予定されているものです。嘉田氏は知事時代から「ダムに頼らない治水」を一貫して掲げており、この計画には強い反対姿勢を示してきました。SNS上でも「嘉田さんの当選でダム計画が白紙に戻るのか」「治水の在り方を改めて考えるきっかけになる」といった、彼女の信念に共感する声や今後の動向を注視する投稿が数多く寄せられています。
揺れる周辺自治体と国土交通省の苦悩
一方で、現在の滋賀県知事である三日月大造氏は、かつての凍結方針から一転して計画容認の姿勢を打ち出しています。さらに、下流域に位置する大阪府の吉村洋文知事も、治水効果を再検証する方針を固めるなど、周辺自治体の足並みが揃いつつある状況でした。そこへ反対派の急先鋒である嘉田氏が国会議員として返り咲いたことで、国土交通省が進めてきた合意形成のプロセスには、相当な難航が予想されるに違いありません。
ここで言う「治水」とは、大雨による河川の氾濫を防ぎ、人々の命や財産を守るための管理を指します。嘉田氏が主張する流域治水は、ダムという巨大な構造物だけに頼るのではなく、遊水地の活用や森林整備などを組み合わせる多層的な対策です。専門的な視点で見れば、どちらも住民の安全を第一に考えている手法ですが、そのアプローチの大きな違いが、現在の複雑な政治状況を生み出していると言えるのではないでしょうか。
私個人の見解としては、気候変動による豪雨災害が激甚化する現代において、単なる反対や推進といった二元論で語る時期は過ぎたと感じています。嘉田氏の当選は、これまでのダム計画を改めて精査し、より持続可能で効果的な防災の形を議論するための「良質なブレーキ」になるはずです。国と地方自治体、そして専門家が立場を超えて真摯に向き合い、滋賀や大阪の未来を守る最善の妥協点を見出すことが、今まさに求められています。
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