中古品売買の勢力図が激変するなか、岡山市に拠点を置くリユース大手の株式会社ベクトルが、2019年秋から驚きの新サービスを始動させます。これまで主流だった店舗への持ち込みや宅配キットの返送といった手間を一切排除し、街中のロッカーへ預けるだけで取引が完了する画期的な仕組みです。スマートフォンの普及により、私たちの「モノを売る」ハードルはかつてないほど低くなろうとしています。
今回のプロジェクトは、ベクトルと即時査定アプリ「CASH」を運営する株式会社バンク、そしてクリーニングロッカー「ラグー」を展開する株式会社アイクトの3社が手を取り合うことで実現しました。「ここでCASH」と銘打たれたこのサービスは、テクノロジーと既存の物流インフラを高度に融合させた、まさに令和時代の幕開けにふさわしいビジネスモデルと言えるでしょう。SNS上でも「店員さんと話さなくていいのは楽」「買い物のついでに処分できる」と期待の声が広がっています。
ここで注目すべき「即時査定」とは、アプリで商品の写真を撮影するだけで、AIなどが瞬時に買取金額を提示してくれるシステムを指します。従来のように査定結果を数日間待つ必要がなく、その場でお金を手に入れられるスピード感が、忙しい現代人のニーズを射抜きました。利用者はアプリの金額に納得すれば、あとは指定のロッカーに品物を入れるだけという、究極のシンプルさが最大の特徴です。
ベクトルを率いる村川智博社長は「中古品買い取りにおいて、手軽さは何よりも重要だ」と断言しています。この言葉通り、2019年7月24日現在の市場において、消費者は単に高く売れることだけでなく、いかにストレスなく手放せるかを重視する傾向にあります。対面でのやり取りに気恥ずかしさを感じる層や、子育てや仕事で店舗へ行く時間が取れない層にとって、無人ロッカーという選択肢は非常に魅力的なはずです。
店舗を持たない拡大戦略!物流コストを抑えた賢い仕組み
ベクトルの戦略が優れているのは、利用者側のメリットだけではありません。企業側にとっても、実店舗を構える多額の固定費をかけずに、全国の商業施設やスーパーといった好立地に「仕入れ窓口」を増やせる大きな利点があります。既存のクリーニング品回収ルートをそのまま中古品の集荷に活用するため、トラックの走行距離や燃料代を抑える環境に優しい物流網を実現している点も見逃せません。
リユース業界全体を見渡すと、2019年7月10日からは日本郵便も「はこぽす」を利用した「メルカリ」の無人発送試験を開始するなど、物流の無人化が加速しています。フリマアプリの爆発的普及により、郵便局やコンビニの窓口が混雑するという社会問題が起きていましたが、ロッカー活用はこの課題に対する鮮やかな回答と言えます。ベクトルはこうした流れを汲みつつ、さらに一歩踏み込んだ買い取り体験を提供しようとしています。
私個人の見解としては、この「非対面」へのシフトは、今後のリユース市場を勝ち抜くための必須条件になると考えています。フリマアプリでのやり取りさえも「面倒」と感じる層は確実に存在しており、そこをターゲットにしたロッカー戦略は非常に賢明です。また、店舗の名前を「ここでCASH」へと順次変更する決断からは、従来の「古着屋」というイメージを脱却し、よりデジタルなインフラへと進化しようとする強い意志が感じられます。
リユースは今や、単なる節約術ではなく、持続可能な社会を作るためのライフスタイルへと変貌を遂げました。他社との協業によって自社の強みを最大化し、コストを最小限に抑えながら規模を拡大するベクトルの手法は、今後の日本におけるビジネスの教科書的な事例になるに違いありません。この秋、私たちの街にあるロッカーが、新しい経済の入り口へと変わる瞬間を目の当たりにすることになるでしょう。
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