神奈川県茅ケ崎市の海を望むオフィスから、ネットショップ運営の常識を塗り替える画期的なサービスが産声を上げています。システム開発を手掛ける「シッピーノ」が提供する同名の自動出荷管理サービスは、複数のECモールを運営する事業者の救世主として、今まさに爆発的な普及を見せています。2019年には、このシステムを経由する取扱高が前年比83%増の約220億円に達する見込みであり、その成長スピードには目を見張るものがあります。
このサービスの核心は、アマゾンや楽天市場といった主要なECモールと、物流倉庫をリアルタイムでつなぐ「自動連携」の仕組みにあります。SNS上では「休日の注文を気にせず休めるようになった」「発送作業から解放されて企画に集中できる」といった喜びの声が目立ち、業務効率化の実感が広がっています。ネット通販が生活に浸透した現代において、バックヤードの自動化は単なる効率アップではなく、ビジネスの生死を分ける重要な戦略といえるでしょう。
物流のプロとシステムを直結させる「API」の魔術
具体的な仕組みとしては、ネット経由で入った注文情報を在庫と自動で照合し、配送代行サービスへ発送依頼を即座に飛ばします。ここで特筆すべきは、アマゾンが提供する「FBAマルチチャネル」との連携です。これは、アマゾンの高度な物流網を使い、他モールで売れた商品も無地の箱で発送できる仕組みを指します。夜間や店舗の休業日でもシステムが休まず働くため、購入者にとっては配送スピードが上がり、顧客満足度の飛躍的な向上に繋がるのです。
こうしたシステム連携に欠かせないのが「API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」という技術です。これは異なるソフトウェア同士が情報をやり取りするための「接続口」のような役割を果たします。従来、この接続仕様が変わるたびにシステムエラーが発生し、多くの事業者が頭を悩ませてきました。しかし、2019年04月にリリースされた新サービスは、事業者の基幹システムとアマゾンを強固に自動接続し、こうしたトラブルを未然に防いでいます。
分散する在庫リスクを解消し、EC業界のスタンダードへ
シッピーノの田渕健悟社長は、今のEC業界においてFBAマルチチャネルの利用はもはや標準的だと分析されています。しかし、複数のモールに出店すると在庫が分散し、一箇所で売り切れても他方では在庫が残るといった機会損失や過剰在庫のリスクが伴います。この「在庫のバラつき」という難題を、リアルタイムの連携によって解消できる点が、同社の最大の強みです。効率化を武器にしたこの戦略は、競争が激化する市場で非常に理に適っています。
2010年の設立以来、着実に実力を蓄えてきた同社は、2016年09月にはスマホケース大手のHameeと資本業務提携を結び、その信頼性を不動のものにしました。現在は約1,000店舗となっている利用店数を、近い将来に3倍まで拡大する野心的な計画を掲げています。私個人としても、こうした「現場の苦労をITで解決する」企業が地方から登場することは、日本のEC市場全体をより健全で創造的な場所へと変えていく原動力になると確信しています。
コメント