自動車産業がいま、100年に一度と言われる大変革期の真っただ中にあります。これまでクルマの価値といえば、流麗な外観デザインやエンジンの馬力、走行性能といった「外側」や「動力」が主役でした。しかし、自動運転技術の向上や次世代モビリティを象徴する「CASE」という波が押し寄せたことで、その評価軸は劇的な変化を遂げようとしています。
これからの主役は、乗員が直接触れ、過ごすことになる「内装(インテリア)」や、人間と機械が情報をやり取りする「HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)」へとシフトしているのです。HMIとは、例えばタッチパネルや音声操作、フロントガラスに情報を映し出す技術などの総称を指し、これらがクルマをただの移動手段から、高度なIT機器へと変貌させています。
特に米国のテスラや中国の新興EVメーカーであるバイトンが手掛ける電気自動車を覗いてみると、その変貌ぶりに驚かされるでしょう。2019年08月02日現在のトレンドとして、彼らの内装は驚くほどシンプルにまとめられています。従来のクルマにあった複雑なスイッチ類は姿を消し、代わりに巨大なディスプレイが鎮座するその様子は、もはや「走るスマートフォン」や「究極のIoT機器」そのものと言えます。
こうした変化に対し、SNS上では「運転から解放されたら車内で映画を観たい」「もはや家よりくつろげる空間になりそう」といった、未来の車内環境に期待を寄せる声が数多く上がっています。一方で、あまりにデジタル化が進む現状に「機械を操作している実感が薄れて寂しい」という、従来の車好きならではの戸惑いの声が見られるのも、過渡期である現在らしい現象ではないでしょうか。
私は、この「車内体験の向上」こそが、今後の自動車メーカーが生き残るための鍵になると確信しています。移動時間を「拘束される時間」から「自由に楽しむ時間」へと変えることは、現代人のライフスタイルに革命をもたらすはずです。クルマは単なる移動の道具であることをやめ、デジタルラウンジとして私たちの生活に溶け込んでいくことでしょう。利便性と心地よさの追求が、次世代のスタンダードになるに違いありません。
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