2019年08月09日、日本の農業界に小さくない波紋を広げるニュースが飛び込んできました。農林水産省は、2011年08月から開始されたコメ先物取引について、試験的な上場期間をさらに2年間継続することを決定したのです。驚くべきことに、試験上場が4回も繰り返されるのは過去に例がなく、まさに異例の事態と言えるでしょう。
今回の判断の背景には、直近の平均売買高が前回の期間を大きく割り込んでしまったという厳しい現実があります。正式な上場へとステップアップするためには、活発な取引が行われていることが絶対条件となるため、現状では延長もやむを得ない措置といえます。大阪堂島商品取引所は、この現状に対して強い危機感を持ち、市場の活性化に向けた手立てを講じる必要があるでしょう。
そもそも「先物取引」とは、将来の特定の時期に、あらかじめ決めた価格で商品を売買することを約束する仕組みを指します。これにより、将来の価格下落を恐れる生産者や、高騰を懸念する流通業者が、事前に価格を確定させることで「価格変動リスク」を回避できるのです。いわば農業経営を守るための、非常に合理的な「保険」のような役割を果たします。
SNS上では「農家の経営安定には不可欠なはずなのに、なぜ普及しないのか」といった疑問や、「古い慣習が新しい仕組みを阻んでいるのではないか」という鋭い指摘も散見されます。こうした声からも分かる通り、コメ先物は国内唯一の公設市場として、需給のバランスを映し出す鏡のような重要な役割を担っているはずなのです。
農業協同組合との連携と市場改革への断行
確かに、農業生産法人の参加が増えるなど、少しずつですが前進している側面も見受けられます。しかし、依然として大きな壁となっているのが、農業協同組合(JA)が取引への参加に対して極めて慎重な姿勢を崩していない点です。堂島商品取引所には、農協組織に対して市場を利用するメリットを粘り強く伝え、参加者を増やすための地道な努力が求められています。
2018年産のお米からは、長年続いてきた政府による生産調整、いわゆる「減反」制度が廃止されました。これからの時代は、政府が補助金で価格を支える仕組みから脱却し、市場の原理に基づいた需給調整を目指すべきだと私は考えます。自由な競争の中でこそ、本当に価値のあるお米が正当な評価を受け、農家の自立した経営が実現するのではないでしょうか。
一方で、日本の商品先物市場全体を見渡すと、大きな再編の動きが加速しています。東京商品取引所が日本取引所グループ(JPX)に買収されることが最終合意され、2020年には貴金属や農産物の取引が大阪取引所へ移管される見通しです。こうした「総合取引所」への集約が進む中で、コメ市場だけが農水省の権限に縛られ、孤立している現状には疑問を感じざるを得ません。
もし現在の体制で取引の拡大に限界を感じているのであれば、堂島商品取引所も総合取引所の枠組みに合流するなど、抜本的な組織の見直しを検討すべき時期に来ているはずです。伝統あるコメ文化を守るためにも、古い形式に固執せず、時代に即した使いやすい市場へと進化させる勇気が、今まさに試されているのです。
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