2019年07月26日、日本を代表する動物学者である今泉忠明氏が、野生動物の調査において欠かせない「けもの道」の奥深さについて語りました。長年にわたり森に深く入り込んできた氏の視点からは、一見するとただの藪にしか見えない場所でも、そこには命の営みが作り出した確かな航路が見えてくるそうです。私たちは普段、舗装された道路を当たり前のように利用していますが、大自然の中でも動物たちが共有する独自のインフラが存在している事実に驚かされます。
森を歩く経験を積み重ねることで、ようやく見えてくるという「けもの道」。これは、林床(りんしょう)と呼ばれる森林の地表面に生えるコケや草が、長い年月をかけて動物たちに踏み固められることで形成されます。専門用語であるこの「林床」は、光の届きにくい樹木の下に広がる繊細な生態系の一部ですが、そこにかすかな筋となって現れる道こそが、野生のドラマを物語る重要な手がかりとなるのでしょう。
このわずかな痕跡を敏感に察知するのは、学者だけではありません。熟練の猟師たちはこの道を正確に読み解き、動物たちが通るタイミングを見計らって罠を仕掛けるといいます。SNS上では、今泉氏の深い知見に対し「森の解像度が上がるようなお話だ」「動物たちの日常を想像すると胸が熱くなる」といった感嘆の声が上がっています。プロの観察眼が捉える世界は、私たちが想像するよりもずっと緻密で、情熱に満ちたものだと言えるでしょう。
私は、この「けもの道」という存在に、野生動物たちの「意志」と「知恵」を強く感じます。最短ルートや安全な場所を選び抜いた結果が道となり、それが世代を超えて受け継がれていく様子は、まるで地図のない世界に記された歴史のようです。人間が作った道路とは異なり、自然を破壊することなく共生の中から生まれるこの細い道に、私たちは効率性だけではない、生命の本来あるべき力強さを学ぶべきではないでしょうか。
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