2019年07月31日、通信計測機器の大手メーカーであるアンリツが発表した2019年4月から6月期の連結決算は、市場の予想を上回る目覚ましい内容となりました。米中間の貿易摩擦が激化し、世界経済に不透明感が漂う中、同社は前年同期と比較して大幅な増益を記録しています。この意外とも言える好業績の背景には、次世代通信規格「5G」の普及を巡る、世界のスマートフォンメーカー各社による熾烈な開発競争が隠されているようです。
アンリツの内田昇執行役員は、現在の状況を「米中摩擦による思わぬ特需」と表現しています。米国政府による華為技術(ファーウェイ)への制裁強化は、一見するとサプライヤーにとって逆風に思われがちですが、実際には異なる動きを加速させました。首位を走るファーウェイが制裁によって足踏みを余儀なくされている隙を突き、他の中国系スマートフォンメーカーが市場シェアを奪おうと、研究開発や設備投資を大幅に積み増しているのです。
ここで注目すべき「通信計測機器」とは、基地局やスマートフォンが発する電波が、規格通りに正しく送受信できているかを検証するための精密なデバイスを指します。いわば、最先端の通信技術が正常に機能するかを判定する「審判」のような役割を担っています。新しい通信規格である5Gが実用化される直前の現在、製品をいち早く市場へ投入したいメーカーにとって、この計測機器の確保は文字通り死活問題となっているのでしょう。
SNS上では、このアンリツの決算に対して「地政学リスクを追い風に変える強かさがすごい」「5Gの本命銘柄としての実力を見せつけた」といった驚きの声が上がっています。多くの企業が米中対立によるサプライチェーンの混乱に頭を悩ませる中、独自の技術力を持つ企業が、むしろ競合他社の競争心を煽る形で利益を伸ばしている構図は、投資家たちの間でも非常にポジティブなサプライズとして受け止められている印象です。
編集部としての見解ですが、今回のアンリツの躍進は、技術の転換点において「不可欠なツール」を握ることの重要性を如実に物語っています。政治的な制裁によって特定のプレーヤーが制限されたとしても、次世代技術への人々の欲求が消えることはありません。むしろ、空白となった椅子を奪い合うパワーゲームが激化することで、アンリツのようなインフラを支える企業には、さらなる追い風が吹く可能性が高いと言えるでしょう。
2019年の中盤を過ぎ、いよいよ世界中で5Gの商用サービスが本格化しようとしています。米中関係の行方は依然として予断を許さない状況が続きますが、技術革新のうねりは止まりません。アンリツがこの「特需」を一時的なものに終わらせず、持続的な成長へと繋げられるかどうかが、今後の通信業界全体の勢いを占う試金石になるはずです。世界を舞台にした開発競争の裏側で、日本企業が重要な鍵を握っている事実は、非常に心強いですね。
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