製薬大手のエーザイは2019年07月30日、てんかん治療薬として開発を進めていた新薬の臨床試験において、被験者である健康な男性が亡くなったことを明らかにしました。厚生労働省の発表によれば、国内で健康な被験者が死亡するケースは、記録が確認できる2013年以降では前例がなく、極めて衝撃的な事態として受け止められています。
そもそも臨床試験(治験)とは、新しい薬が国から承認を得るために、人での有効性や安全性を確認する不可欠なステップです。通常、開発の初期段階では「フェーズ1」として、少数の健康な志願者を対象に副作用の有無などが慎重に調査されます。今回の悲劇は、まさにこの安全性を担保するためのプロセスの中で発生してしまいました。
治験の中止と徹底した原因究明へ
エーザイは2017年から東京都内の医療機関において、神経の過剰な興奮を抑制する薬剤の試験を開始しており、これまでに118人が参加していました。亡くなった男性は2019年06月、入院中に10日間にわたって薬を投与されました。その後、4日間の経過観察を経て退院しましたが、数日後に帰らぬ人となったことが報じられています。
今回の事態を受けて、エーザイは即座に試験の中止を決定しました。同社および厚生労働省は、投与された薬剤と死亡との因果関係に加え、治験の実施手順に不備がなかったかを厳格に調査する方針です。SNS上では「健康な人が亡くなるなんて信じられない」「新薬開発にはこれほどの代償が伴うのか」といった困惑と懸念の声が広がっています。
筆者の個人的な見解としては、医療の進歩に治験が欠かせないことは理解しつつも、尊い命が失われた事実は重く受け止めるべきだと考えます。被験者の安全確保は、いかなる画期的な薬の開発よりも優先されるべき絶対条件です。今後、真相が究明されるとともに、二度とこのような悲劇が繰り返されないよう、業界全体の管理体制の見直しが求められるでしょう。
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