2019年6月7日の国内債券市場では、長期金利の指標として多くの投資家が注目する新発10年物国債の利回りが、前日と同じマイナス0.125パーセントで取引を終え、横ばいとなりました。この「10年債利回り」とは、日本政府が発行する償還期間が10年の国債を購入した際、満期まで保有し続けた場合に得られる年間の利益率を示すものです。利回りがマイナスということは、国債を額面以上で購入するため、満期まで保有しても損をしてしまうという、現在の金融緩和政策下における非常に特殊な状況を反映しているのです。
このところの債券市場では、米国の利下げ観測などを背景に、日本の長期金利も急速に低下(これは国債の価格が上昇することを意味します)していました。利回りの低下が急激だった反動から、6月6日の取引開始当初は、利益を確定しようとする「売り」の動きが先行し、価格が下落する場面が見られました。これは、相場が一本調子で動き続けることはなく、短期的には調整局面が入るという、市場の自然な摂理を示していると言えるでしょう。しかし、その後、海外市場で米国の長期金利が時間外取引で低下すると、その流れを受けて国内債券にも買い注文が入り、相場が下支えされたのです。
特に、日本の長期金利は、2019年6月20日の日銀金融政策決定会合の結果発表を控え、この時点ですでに2016年8月以来の低水準を付けている状況でした。SNS上などでの市場参加者の反応を見ても、「マイナス金利がここまで深まるとは」「世界的な低金利の流れが止まらない」といった声が多く聞かれ、市場の関心は非常に高まっていたことが伺えます。米国の長期金利の動向に敏感に反応し、国内金利が動く状況は、世界経済の連動性の高さを改めて浮き彫りにしています。
一方、短期金融市場の動きを見てみると、金融機関同士が短期の資金を貸し借りする際の金利である「無担保コール翌日物金利(加重平均、速報)」は、前日比で0.001パーセント高いマイナス0.053パーセントへとわずかに上昇しました。これは、短期の資金調達コストがわずかながら上がったことを示唆していますが、長期金利の指標である10年債利回りが横ばいで推移したことと合わせ、短期と長期で金利の動きに若干の差が見られた点も興味深いところです。
私見として、この日の国内債券市場は、短期的な反動の「売り」と、世界的な低金利環境の継続や米金利低下を受けた「買い」が拮抗した、まさに「攻防の末の横ばい」だったと捉えることができます。世界的に景気の先行き不透明感が漂う中、日本の長期金利は、今後も海外の金融政策や景気動向に強く影響を受けながら、非常に狭いレンジで敏感な値動きを続けていくことが予想されます。投資家としては、この「マイナス金利」という特殊な状況下で、国内の要因だけでなく、米国の長期金利の動向にも細心の注意を払い続ける必要があるでしょう。
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