2019年6月7日、政府はIT総合戦略本部において、次世代の日本社会の骨格を形作る新しいIT(情報技術)戦略案を提示いたしました。この戦略は、今月中旬にも閣議決定される見込みで、特に次世代通信規格である「5G」のインフラ整備と、社会全体のデジタル化を強力に推し進める内容が柱となっています。
この新戦略の中でも、特に注目すべきは、全国に設置されている約20万基の信号機を、国内の主要な通信事業者4社に対して、5Gの基地局として活用することを許可する方針です。5Gとは、現在の主流である4Gに続く「第5世代移動通信システム」のことで、**「高速・大容量」「低遅延」「多数同時接続」という3つの特徴を持ち、自動運転やIoT(モノのインターネット)といった未来技術を実現するための鍵となる技術です。その5Gを全国津々浦々に、迅速かつ効率的に普及させるための起爆剤として、信号機という既存のインフラを活用する政府の英断には、非常に期待が高まるところです。
なぜ信号機が選ばれたのでしょうか。5Gは高速大容量の恩恵をもたらしますが、その電波は直進性が強く、遠くまで届きにくいという特性(弱点)があります。このため、広範囲をカバーするには、従来の4Gよりもはるかに多くの基地局が必要になります。信号機は、電柱などとは異なり、交通の要衝である見通しの良い場所に設置されており、電源や光ファイバーケーブルといったインフラも整備されているケースが多く、まさに「街のいたるところに存在する、最適な基地局の設置場所」と言えるでしょう。これにより、通信キャリアは、新たに土地を借りたり、設置許可を得たりする手間やコストを大幅に削減でき、5Gの全国展開が飛躍的に加速すると予想されます。
この発表に対して、SNS上では「まさに日本らしいアイデアだ」「設置場所問題の解決に光明が見えた」といった期待の声が多く見受けられました。特に、自動運転の早期実現に向けたインフラ整備として、この取り組みが不可欠であるという認識が広まっており、未来の交通システムへの関心の高さを感じさせます。一方で、「景観への配慮は大丈夫か」「警察庁と総務省の管轄をまたぐ調整はスムーズに進むのか」**といった、実運用における懸念を示す声もありました。これらの課題をクリアし、安全で便利なデジタル社会を築くことが、政府には求められています。
デジタル化で変わる!農業・介護・行政サービスの未来
新しいIT戦略は、信号機の5G基地局利用に留まらず、日本の主要な社会課題を抱える分野のデジタル化にも深く踏み込んでいます。まず、農業分野では、農家が希望すれば「農家ID」を取得できるようにし、補助金の電子申請を可能とする仕組みを導入します。さらに、農産品の生産から加工、そして販売に至るまでの全工程の情報を、インターネット上で一元管理できるようにすることで、農業の効率化や品質管理の向上を目指しています。
介護分野のデジタル化も重要です。2019年度中には、特定健診などの健康情報と、介護が必要になった後の情報を集約した大規模なデータベースを構築する計画です。このデータ分析によって、「どのような健康状態にある人が、将来的に介護が必要になるリスクが高いのか」といった傾向を科学的に把握できるようになり、これを根拠とした効果的な介護予防策を立案し、全国展開することが可能になります。まずは複数の自治体での先行導入を経て、2020年度には全国への展開を目指すとしています。
最後に、行政サービスのデジタル化として、各都道府県が個別に運営している運転免許関連のITシステムを、全国で統一する方針が打ち出されました。システムの標準化は、個々の都道府県がシステムを維持・管理するために費やしてきたコストを削減する効果を生み出し、その結果として、将来的に運転免許の発行手数料や更新料の引き下げにつながる可能性を秘めています。各都道府県は、2022年度から2025年度までの間に、共通システムへの切り替えを完了させることを目標としています。
このIT新戦略は、単に最新技術を導入するというだけでなく、日本の社会システムそのものを、データとデジタル技術を駆使して、より効率的で、豊かで、持続可能なものへと変革していく強い意志が感じられます。この取り組みは、**「世界最先端デジタル国家創造宣言」**を実現するための具体的な一歩であり、私たち国民一人ひとりの生活の質(Quality of Life)を向上させる大きな可能性を秘めていると私は確信しています。日本がこのデジタル変革の波に乗り遅れることなく、未来を切り拓いていくための、重要な戦略の舵取りが今、行われようとしているのです。
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