アジアを代表する国際都市、香港の象徴とも言える高級ホテル業界に、かつてない激震が走っています。名門中の名門として知られる「ザ・ペニンシュラ香港」の経営状況に、大きな変化が生じていることが明らかになりました。2019年08月09日現在の発表によりますと、同ホテルの2019年04月から2019年06月期における平均客室単価は、5396香港ドル(日本円で約7万3千円)を記録しています。
この数字は前年の同時期と比較して、およそ5%もの下落を示しており、業界内では驚きの声が広がっているようです。背景にあるのは、現在も収束の兆しが見えない「逃亡犯条例」の改正案を巡る大規模な抗議活動でしょう。SNS上では「憧れのペニンシュラが安くなるのは複雑」「香港の安全が心配で今は旅行に行けない」といった、観光客の不安や戸惑いの声が数多く投稿されています。
デモの長期化がもたらすビジネス・観光への甚大なダメージ
そもそも「逃亡犯条例」とは、香港で犯罪の疑いをかけられた人物を、容疑者として中国本土などへ引き渡すことを可能にする決まりのことです。この制度への懸念が発端となり、市民の自由を守るためのデモが激化している状況にあります。街の混乱が続いている影響により、海外からのレジャー目的の観光客だけでなく、世界中から集まっていた出張者の足も遠のいてしまいました。
経済界への影響も目に見える形で現れており、日本のメガバンクの一つは、当面の間は香港への出張を控えるよう社内へ通知したことが判明しました。このように企業の危機管理体制が強化されたことで、ビジネス客の宿泊需要も大幅に減少していると推測されます。高級ホテル側としては、空室を埋めるために料金を下げざるを得ない苦渋の決断を迫られているのが現状ではないでしょうか。
かつて「100万ドルの夜景」と称された香港の輝きは、政治的な混乱という影に覆われつつあります。単なる価格の下落は利用者にとって一見お得に思えるかもしれませんが、その裏には都市のアイデンティティを揺るがす深刻な課題が潜んでいるのです。編集者としての意見ですが、自由な経済活動は社会の安定があってこそ成り立つものであり、一刻も早く平穏な日常が戻ることを願わずにはいられません。
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