徳島の夏を象徴する情熱の祭典、阿波おどりが2019年08月12日にいよいよ開幕を迎えました。令和という新しい時代の幕開けにふさわしく、約400年にも及ぶ長い歴史の中で初めて民間事業者が運営を主導するという、大きな転換点に立っています。昨年の運営を巡る混乱を乗り越え、今年のテーマとして掲げられたのは「笑顔と融和」です。その言葉を体現するように、初日の人出は昨年を約15%も上回る約38万人を記録し、街全体がかつてない熱気に包まれています。
今回の運営を担うのは、イベント企画のプロフェッショナルであるキョードー東京を中心とした共同事業体です。民間ならではの新しい感性が、伝統ある祭りに心地よい新風を吹き込んでいます。初日のメイン会場となった市役所前演舞場では、昨年見られた空席が嘘のようにチケットが完売し、県内外から訪れた観客の期待感が会場を埋め尽くしました。運営側の前田三郎総責任者は、地元の全面的な協力があったからこそ、この素晴らしいスタートが切れたと感謝の意を述べています。
対立を乗り越えた「絆」の象徴!復活した総踊りに観客が涙
今大会の最大のハイライトは、なんといっても2年ぶりに復活した「総踊り」でしょう。昨年は主催者側と踊り子グループの間で激しい対立がありましたが、今年は歩み寄りの精神が実を結びました。開幕一番に踊り込んだのは、かつて対立の渦中にあった阿波おどり振興協会の「天水連」です。演技終了後、協会の山田実理事長と運営責任者の前田氏が固く握手を交わす場面が見られ、会場は温かな拍手に包まれました。まさに、わだかまりが解けた瞬間といえるでしょう。
圧巻だったのは、振興協会に所属する14連、合計約1500人の踊り子が一斉に演舞場を埋め尽くした総踊りです。ここでいう「連(れん)」とは、阿波おどりを踊るために構成されたグループの単位を指しますが、その卓越した技術を持つ「有名連」が揃い踏みする光景は、まさに鳥肌が立つほどの迫力でした。約50年も踊り続けてきたベテランの踊り手からも、観客の反応に感無量であるという喜びの声が漏れており、現場の一体感は最高潮に達しています。
SNS上でもこの復活劇は大きな話題となっており、「やっぱり総踊りがないと徳島の夏は始まらない」「踊り子さんと運営が手を取り合う姿に感動した」といったポジティブな投稿が相次いでいます。伝統を守るために変化を受け入れるという、難しい決断を下した関係者の方々の努力が、多くの人の心に届いているようです。私個人としても、古いしきたりに固執するのではなく、対話を通じてエンターテインメント性を高めていく姿勢は、現代の祭りのあるべき姿だと強く感じます。
プレミアム演舞場と周遊チケットで進化する伝統文化
今年の試みは感情面だけでなく、サービス面でも革新的です。夜の第2部では、選りすぐりの有名連が次々と登場する「プレミアム演舞場」が導入されました。さらに、複数の有料演舞場を自由に行き来できる「周遊型リストバンドチケット」も販売されており、観光客の利便性が飛躍的に向上しています。実行委員長の松原健士郎弁護士が語る通り、阿波おどりは伝統を大切にしながらも、時代に合わせて変わり続けることで成長を遂げようとしているのです。
一方で、自然の猛威という新たな課題も浮上しています。非常に強い台風10号の接近に伴い、実行委員会は2019年08月14日の全演目中止を決定しました。安全を最優先した迅速な判断ですが、2日間の中止となれば1996年以来の異例の事態となります。運営側の収益面での懸念はありますが、まずは観客と踊り子の無事を第一に考える姿勢は、新生・阿波おどりへの信頼をより強固なものにするはずです。この試練を乗り越え、最終日まで無事に踊り抜けることを願ってやみません。
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