2019年ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の熱狂が、ピッチの上だけでなく大阪の街中にも波及しています。特に注目を集めているのが、地元が誇る「クラフトビール」の快進撃です。クラフトビールとは、小規模な醸造所が職人技を駆使して造り上げる、多様で個性豊かなビールのことを指します。現在、大阪市内の飲食店には試合観戦に訪れた欧米のラグビーファンが連日詰めかけており、日本の地ビールの深い味わいに酔いしれる姿が目立っています。
大阪府箕面市に拠点を置く「箕面ビール」の直営店である「BEER BELLY 天満」では、2019年9月以降から欧米人客が急増する現象が起きています。特に2019年9月29日に開催されたオーストラリア対ウェールズ戦の夜には、約40ある客席がまたたく間に外国人ファンで埋め尽くされました。特筆すべきはその旺盛な消費力で、1人あたりの客単価は3000円から4000円に達しており、これは通常の来店客と比較して約2倍という驚異的な数字を叩き出しています。
SNS上では、実際に店舗を訪れたファンから「日本の地ビールがこれほどハイクオリティだとは思わなかった」「パブの文化が大阪にも根付いていて最高だ」といったポジティブな投稿が相次いでいます。ラグビーファンには熱心なビール愛飲家が多いという説がありますが、現場の状況を見る限りそれは紛れもない事実のようです。店長の藤谷修平さんによれば、特に人気なのは「苦みが強くアルコール度数が高い銘柄」であり、海外ファンの嗜好が色濃く反映されています。
具体的には、アルコール度数が9%と高く、強い苦みが特徴の「WIPA(ダブル・アイ・ピー・エー)」が飛ぶように売れています。IPAとは、ホップを大量に使用して香りと苦みを際立たせたビールスタイルで、WIPAはその特徴をさらに強化したものです。約500ミリリットルのパイントグラスで3杯から4杯を軽々と飲み干す強者も珍しくありません。英国から来日したイアン・エヴァンズさんも、大会公式ビールよりも香りが豊かな大阪のビールを絶賛しています。
食文化への波及と今後の期待
醸造所を併設する「和食たちばな 道頓堀大阪松竹座」でも、2019年の開幕以降は外国人客が例年より1割増加しており、その多くが自家製の「道頓堀ビール」を指名買いしています。一方で、飲食店側からは「欧米の客はビールばかりで食事をあまり注文しない」という贅沢な悩みも聞こえてきます。しかし、私はこれこそが大阪の食文化の魅力をアピールする絶好のチャンスだと考えます。おつまみ文化を提案することで、さらなる「トライ」を決めてほしいところです。
コメント