半導体製造装置の世界的なリーダーとして知られるSCREENホールディングスが、次なる成長の柱としてバイオ分野への攻勢を強めています。同社は2019年08月20日、京都大学発のスタートアップ企業であるAFIテクノロジーに対して、数億円規模の追加出資を行うことを明らかにしました。この決定により、SCREEN側の出資比率は20%を超え、筆頭株主として経営や事業開発に深く関与していく構えです。
今回の出資は2017年に続く2回目であり、両社の信頼関係が着実に積み重なっている証拠と言えるでしょう。ネット上の反応を見てみると、「日本のものづくり大手がスタートアップの技術を支えるのは素晴らしい」といった応援の声や、「半導体技術が医療にどう活かされるのか楽しみだ」といった期待感が寄せられています。大手企業が持つ資金力や量産ノウハウと、大学発ベンチャーの尖った技術が融合する理想的な形がここにあります。
SCREENがここまで積極的に動く背景には、主力である半導体やスマートフォン市場の激しい景気変動、いわゆる「シリコンサイクル」に左右されない強固な事業ポートフォリオを構築したいという切実な課題が存在します。特定の業界の浮沈が業績を直撃する構造から脱却するため、景気に左右されにくい医療やヘルスケアといったライフサイエンス分野を、第二の収益の柱として育成することが急務となっているのです。
ここで注目すべきは、AFIテクノロジーが保有する「細胞を傷つけずに分離・精製する技術」という独自の武器です。通常、特定の細胞を識別するには薬液で染色を行う必要がありますが、この工程は細胞にダメージを与えるリスクが拭えません。しかし、同社の技術を用いれば、無染色の状態で生きたままの細胞を高い精度で選別することが可能です。この革新的な手法は、今後の再生医療において極めて重要な役割を果たすと考えられます。
現在は主に食品工場の衛生管理現場などで活用されているこの技術ですが、今後はiPS細胞(人工多能性幹細胞)を用いた創薬や治療など、最先端のライフサイエンス分野での共同開発が本格化する見通しです。iPS細胞とは、体の様々な組織に成長できる能力を持つ魔法のような細胞ですが、その実用化には良質な細胞だけを効率よく集める技術が欠かせません。SCREENの精密制御技術とAFIの細胞分離技術の相乗効果は、医療の歴史を塗り替える可能性を秘めています。
編集者としての視点から言えば、この提携は単なる「資金援助」の域を超えた、日本の産業構造をアップデートする象徴的な出来事だと確信しています。既存の精密機械技術が生物学と結びつくことで、これまで不可能だった自動化や高精度化が実現し、結果として治療費の抑制や新薬開発のスピードアップにつながるはずです。技術大国日本が再び世界をリードするために、こうした異業種格闘技のような連携がより活発になることを切に願っています。
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