2019年08月23日、地震大国である日本、特に南海トラフ巨大地震のリスクと隣り合わせの中部地方において、防災の常識を覆す画期的な動きが加速しています。これまで「免震」といえば、膨大なコストと工期がかかる高嶺の花というイメージが一般的でした。しかし今、設置わずか15分という驚異的なスピードや、従来比10分の1という破格のコストを実現した「簡易免震」が続々と登場しています。
SNS上では「これなら中小企業の工場でも導入できる」「個人の家を建てる時の選択肢が広がる」といった期待の声が広がっています。数年前に業界を揺るがした検査データ改ざん問題によって、一時的に免震への不信感や停滞感も漂いましたが、それを払拭するかのような若き才能や地元の知恵が、私たちの命と財産を守る新たなスタンダードを築こうとしているのです。
わずか15分で完了!工作機械を守る「安震アジャスター」の衝撃
愛知県岡崎市の企業「安震」が開発した「安震アジャスター」は、まさに現場の救世主といえるでしょう。従来の地震対策では、床に「アンカーボルト」と呼ばれる太いネジを打ち込んで機械を固定するのが主流でした。しかしこの方法では、床に穴を開けるため強度が低下し、頻繁なライン変更が必要な自動車メーカーなどでは大きな足かせとなっていたのです。
そこで同社は、厚さ5ミリメートルの特殊なゲル素材を採用しました。このゲルを機械の足元に挟み込むだけで、地震の激しい揺れを吸収し、転倒や損傷を防ぎます。驚くべきはその施工性で、ボルト固定に比べ4分の1以下の時間である15分で設置が完了します。2019年11月期の売上高は前期比2倍を見込むなど、トヨタ自動車をはじめとする大手企業からの信頼も急上昇中です。
現役院生の発明が住宅市場を変える?「コンニャク石」に学ぶ免震術
さらに未来を感じさせるのが、名古屋工業大学の大学院生、岩屋遼さんが開発した新技術です。岩屋さんは、天然に存在する「曲がる石」として知られる「コンニャク石」の構造に着目しました。内部に等間隔の隙間を持たせることで、カチカチのコンクリートに柔軟性を持たせることに成功したのです。この構造を建物の基礎に使うことで、地震の衝撃を3分の1まで軽減できます。
この技術の凄みは、何と言ってもその圧倒的な安さにあります。通常、家を揺れから切り離すには「積層ゴムアイソレータ(ゴムと鉄板を重ねたクッション)」や「鉛ダンパー(揺れを熱に変えて吸収する装置)」といった高価な装置が不可欠でした。しかし岩屋さんの手法なら、これらが不要となり、1棟あたり数十万円という、従来の10分の1程度のコストで免震機能を実現できる見込みです。
2019年06月には学生ビジネスプランコンテストで見事最優秀賞に輝き、2020年中には住宅での実証試験が始まる予定です。学生らしい柔軟な発想が、何百万円という導入費用の壁を壊し、誰もが免震住宅に住める未来を引き寄せようとしています。こうした若い力が、地元のゼネコンと手を組んで実用化へ突き進む姿は、非常に心強く、応援したくなりますね。
物流インフラの「要」を守る!エキスパンションジョイントの進化
また、医療機関やオフィス向けで実績のある「カネソウ」は、物流施設向けに特化した免震金具「エキスパンションジョイント」の展開を強化しています。これは、地震の際に別々に揺れる建物同士の隙間をカバーする継ぎ目金具のことです。重いトラックが激しく行き交う物流施設では、これまでにない高い強度が求められ、従来は特注品で対応するしかありませんでした。
しかし、専用製品のラインナップ化により、納期と施工期間の大幅な短縮が可能になります。愛知県内では2019年10月のオリックスによる新施設稼働など、巨大な物流拠点の建設が相次いでいます。地域の物流網が地震で寸断されないための「守りの要」として、こうした地味ながらも重要なパーツの進化が、社会のレジリエンス(復旧力)を支えていることは間違いありません。
まとめ:手軽な免震が「当たり前」の社会へ
今後30年以内に70〜80%という高い確率で発生が予測される南海トラフ地震。愛知県の試算によれば、最悪の場合で4万7000棟もの建物が全壊すると言われています。これまでの「高くて手が出せない免震」から、今回の事例のような「安くて早い免震」へのシフトは、被害を最小限に抑えるための決定打になるはずです。
私は、こうした技術革新こそが、防災を「義務」から「日常の備え」に変えると信じています。高度な技術を誰もが享受できる形に落とし込む。その情熱が、2019年現在の日本の防災シーンを熱くしています。命を守るためのハードルが下がることは、何よりも喜ばしいニュースです。私たちも、こうした新しい選択肢を賢く選び、来るべき時に備えたいものですね。
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