女子ゴルフ界にまた一人、輝かしい新星が誕生しました。2019年08月25日に最終日を迎えた「CATレディース」において、21歳の浅井咲希選手が見事な完全優勝を果たしたのです。初日から首位を守り抜くというプレッシャーの中で、彼女が最後に見せた涙には、これまでの苦難に満ちた道のりが凝縮されていました。
歓喜の瞬間を前に、18番ホールでは誰もが息を呑むドラマが待ち受けていました。わずか50センチのパーパットがカップに嫌われ、2メートルもオーバーしてしまったのです。もし返しのパットを外せば、プレーオフという絶体絶命の局面でした。この時、彼女の脳裏にはかつて自身を苦しめた「イップス」の恐怖がよぎったに違いありません。
ここで「イップス」について少し解説しましょう。これは精神的な要因などにより、これまで当たり前にできていた動作が突然できなくなる症状を指します。浅井選手は2017年のプロテスト前、パットで手が動かなくなるほどの重症に陥っていました。一時はゴルフを断念しようと考えたほど、彼女にとってそれは深い心の傷となっていたのです。
黄金世代の意地と変則スタイルで掴み取った栄冠
かつて父・靖宏さんから「1万時間は練習しろ」と厳しい指導を受けていた彼女ですが、あまりの苦しさに「受験をやめる」と涙ながらに訴えたこともありました。それでも目をつぶって打つという独自の練習を積み重ね、見事にプロテストを一発合格します。今季からは、右手を添えるように握る「クロウグリップ」を採用し、パッティングの不安を克服してきました。
この「クロウグリップ」とは、右手の掌を自分の方に向けず、ペンを持つように添える特殊な握り方です。これにより右手の悪さを抑え、ストロークを安定させる効果があります。今シーズンの女子ゴルフ界といえば、全英女子オープンを制した「シブコ」こと渋野日向子選手の活躍が目覚ましいですが、浅井選手も同じ「黄金世代」として、親友の躍進に人知れず焦りを感じていたのでしょう。
SNS上では、「浅井選手の粘り強いプレーに感動した」「黄金世代の層の厚さが凄すぎる」といった称賛の声が溢れかえっています。「なぜ私だけ頑張れないのか」とホテルの部屋で涙した夜を乗り越え、ついに掴んだ初タイトル。一見すると華やかな世代ですが、その裏側には泥臭い努力と、繊細な心の葛藤があることを彼女の勝利が証明してくれました。
私自身の見解を述べさせていただくと、今回の浅井選手の勝利は単なる一勝以上の価値があると感じます。技術以上に「自分を信じ抜く力」が試されるゴルフという競技において、一度は絶望した選手が頂点に立つ姿は、見る者の心を打たずにはいられません。黄金世代の勢いは止まるどころか、互いを刺激し合いながら更なる高みへと加速していく予感がします。
最後の一打を沈めた瞬間、ようやく「ゴルフをやっていて良かった」と笑顔を見せた浅井選手。弱さを知っているからこそ、彼女はこれからもっと強くなれるはずです。次なる戦いでも、自分らしい攻めのゴルフを見せてくれることを期待しましょう。2019年08月26日、日本の女子ゴルフ界にまた新しい歴史の1ページが刻まれました。
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