2019年6月9日に投開票が行われた堺市長選挙は、過去2連敗を喫していた大阪維新の会が「三度目の正直」でついに雪辱を果たす結果となりました。これにより、維新は同年4月以降、大阪府知事、大阪市長、そして今回の堺市長の「3トップ」を独占することになり、大阪における改革の推進力が一層強まると見られています。維新公認で初当選を果たした永藤英機氏(42歳)は、一夜明けた6月10日午前に堺市役所に初登庁し、「堺市民を幸せにできるよう、きっちりと結果を出したい」と力強く抱負を述べられました。
これまでの堺市長選は、大阪都構想、すなわち大阪府内の自治体を再編し、特別区を設ける構想に反対の立場を取る竹山修身前市長の前に、永藤氏ら維新の候補者が敗れてきました。この経緯から堺市は「反維新の牙城」とまで言われてきましたが、永藤氏は9日夜の記者会見で、今回の勝利を「維新が大阪府・大阪市で進めてきた改革が浸透し、堺市も変えてほしいという思いが出てきたのだろう」と分析しています。長年の市政に対する市民の期待が、改革を掲げる勢力への支持につながったのでしょう。
今回の選挙戦で、永藤氏は都構想への堺市の参加に関する議論をあえて深追いせず、選挙期間中は封印する戦術を取りました。この背景には、都構想の是非を問う住民投票が2020年秋にも実施される見通しがあるものの、まずは足元の市政課題に集中したいという意図が透けて見えます。永藤氏は会見でも「まだ堺市では検討もされていない。大阪市の議論を見守りたい」と述べるにとどめており、性急な議論を避ける姿勢を示しているところです。
一方で、今後の市政運営の要として、永藤氏が強く打ち出しているのが大阪府・大阪市との連携強化です。具体策としては、府と大阪市が成長戦略などを話し合う「副首都推進本部会議」や、大阪の観光振興を担う「大阪観光局」といった、府と大阪市の枠組みに堺市も参加する考えを表明されました。「堺の魅力や可能性は、大阪府、大阪市と成長戦略を練り、近隣市町村と連携することで、さらに大きく伸ばすことができる」と、広域連携による相乗効果に期待を寄せているようです。日本維新の会の馬場伸幸幹事長も「堺市民が求めるまちづくりの実施が先決」とした上で、「その後、都構想との関わりを判断してもらうときがくるかもしれない」と、まずは市政の実現を優先する方針を語りました。
竹山前市政の検証と永藤氏の覚悟
今回の市長選挙は、竹山前市長が政治資金の問題で辞職したことに伴って実施されました。そのため、永藤氏は選挙戦を通して「政治とカネ」の問題解決を強く訴え続けてきました。「全事業を再点検し、本当に市民に必要なところに税金が使われてきたか確認したい」と述べ、約10年におよぶ前市長時代の市政運営を徹底的に見直す姿勢を強調されています。市民の税金がより効果的に、そして市民のためになる使われ方をしているかを厳しくチェックすることは、新しいリーダーに課せられた重要な使命と言えるでしょう。
猛追した「反維新」を前面に出した元自民党市議の陣営は、約1万4千票の僅差で及びませんでしたが、その陣営の支援者からは落胆の声が聞かれました。接戦を制した永藤氏も、9日夜に事務所に集まった支持者を前に挨拶した際、喜びの笑みはなく、引き締まった表情で「本当に大変な選挙だった」と振り返っています。そして、「対立候補を応援した人の意見にも耳を傾けながら、堺のために必要なことを進めたい」と述べ、選挙で分断された市民の声を統合し、市政に取り組む決意を示されました。この言葉からは、市政の重責を担う覚悟と謙虚さが感じられ、市民の期待に応えようとする真摯な姿勢が伝わってきます。永藤氏が目指す「大阪府・市と成長を探る」新しい堺市政の動向に、今後も注目が集まることでしょう。
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