中東情勢が大きな節目を迎えようとしています。トランプ米政権が、泥沼化するイエメン内戦の終結に向け、イランの後ろ盾を受ける反政府武装勢力「フーシ」との直接対話に向けた準備を進めていることが2019年08月29日までに明らかになりました。これまで敵対視してきた勢力とテーブルに着くというこの決断は、混迷を極める地域情勢に一石を投じることになるでしょう。
今回の対話交渉を主導するのは、2019年04月に就任したクリストファー・ヘンゼル駐イエメン米大使です。大使はオマーンにおいてフーシの指導部と公式に会談する計画を立てており、米国が直接、反政府勢力の意向を探る異例の展開となっています。ネット上では「ついにアメリカが動いたか」「サウジとの関係はどうなるのか」といった、驚きと期待が入り混じった声が数多く上がっています。
そもそも「フーシ」とは、イエメン北部に拠点を置くイスラム教シーア派系の武装組織のことです。彼らは現行の暫定政権と対立しており、隣国サウジアラビアを中心とする有志連合から攻撃を受ける一方で、イランからの軍事支援を受けていると目されてきました。いわば、サウジアラビアとイランによる「代理戦争」の最前線に立っている存在といえるでしょう。
米国がこのタイミングで動いた背景には、フーシの背後にいる宿敵イランとの接触を模索する意図が透けて見えます。核合意の破棄以来、極限まで高まった両国の緊張を緩和させるための、一種の「裏口」としてこの対話を利用したい考えではないでしょうか。直接的な衝突を避けつつ、実利を取るためのトランプ流外交術が垣間見える局面であり、その動向から目が離せません。
今回の構想では、米国はフーシとの対話に留まらず、暫定政権を支援するサウジアラビアの参加も促す構えです。三者が一堂に会することで、実効性のある停戦合意を導き出すことが最終的な目標とされています。軍事的な解決が限界を迎える中で、対話という手段に舵を切った判断は、人道危機が叫ばれるイエメンの一般市民にとっても一筋の光となるはずです。
専門家の間では、今回の交渉が成功すればサウジアラビアの負担軽減にも繋がるとの見方が出ています。一方で、イランがどの程度この対話を容認するかが鍵を握るでしょう。私個人の見解としては、大国間の思惑が交錯する中であっても、まずは流血を止めるための第一歩を踏み出した米政権の姿勢を評価すべきだと考えます。外交とは、時に敵とも握手する勇気が必要なのです。
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