イタリア新政権発足で政治リスクは回避されるか?金融市場が楽観視する左派連立の行方

2019年09月05日、イタリアでは五つ星運動と民主党による新たな連立政権が発足する運びとなりました。これまでの政権を主導してきた極右政党「同盟」のサルビーニ党首を政権から排除する形となり、混迷を極めていたイタリア政治はひとまずの落ち着きを見せています。しかし、今回の合意は共通の政策目標というよりは、強硬派の台頭を阻むための「呉越同舟」とも呼べる野合的な側面が強く、その基盤には依然として不安定さが漂っているでしょう。

興味深いことに、実体政治の危うさとは対照的に、金融市場はかつてないほどの熱気に包まれています。イタリアの長期金利、つまり国債の利回りは過去最低水準を更新しており、投資家たちがこぞってイタリア国債を買い入れている状況が浮き彫りになりました。金利が低下するということは、それだけその国の支払い能力や経済の先行きに対して市場が信頼を寄せていることを意味します。これまでユーロ圏の「火種」と目されていた国とは思えないほどの豹変ぶりと言えます。

SNS上では、この急転直下の政権交代に対して「サルビーニ氏の自滅だ」といった厳しい声や、「結局は議席守りのための談合に過ぎない」といった冷ややかな意見が散見されます。その一方で、市場関係者からは「欧州連合(EU)との対立がひとまず回避されたことは大きい」という安堵の投稿も目立ち、民意と投資家の視点のギャップが浮き彫りになっているようです。国民の多くが変化を求める中で、旧態依然とした政治手法がどこまで通用するのかが問われています。

専門的な観点から言えば、現在の市場の楽観論は「消去法的な安心感」に基づいていると考えられます。イタリア国債の利回りが低下した背景には、新政権がEUの財政規律を遵守し、緊縮財政を受け入れるのではないかという期待感があるからです。これまでのようにEU本部に対して強硬な態度を崩さなかった「同盟」がいなくなることで、債務超過のリスクが低減したと判断されたのでしょう。ただし、これはあくまで短期的な好感に過ぎないことに注意が必要です。

私自身の見解としては、この連立政権は極めて危ういバランスの上に立っていると感じざるを得ません。五つ星運動と民主党は本来、政策的に大きな隔たりがあり、共通の敵を排除した後に足並みが揃わなくなるのは目に見えています。市場は現在、政治の安定を好意的に捉えていますが、具体的な経済対策が打ち出せず、内部抗争が激化すれば、再びイタリア発の金融ショックが再燃する可能性も十分に考えられるのではないでしょうか。

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