2019年10月01日に控えた消費増税を目前に控え、北海道の食卓を支える「コープさっぽろ」が、準備を進めていたキャッシュレス決済による5%ポイント還元を断念せざるを得ない状況に追い込まれました。これは政府が中小企業支援を目的に実施する「キャッシュレス・ポイント還元事業」への登録が、最終段階で認められなかったためです。2019年09月18日、大見英明理事長は苦渋の決断を明かし、現時点では自己負担による独自のポイント還元を行う予定はないと語っています。
そもそもこの制度は、増税後の消費冷え込みを防ぐために、中小・小規模事業者を支援する趣旨で設計されたものです。ここで注目すべきは、生活協同組合(生協)に対する適用ルールでしょう。一般的な大手スーパーは対象外とされていますが、生協の場合は「過去3年間の平均課税所得が15億円未満」であれば、従業員数や資本金の規模に関わらず参加できるという特例が存在していました。コープさっぽろはこの条件をクリアしていたため、制度に則って申請を進めていたのです。
しかし、経済産業省は土壇場になって「実質的に大企業と同視できる事業規模である」との見解を示し、申請を却下するという異例の判断を下しました。2019年09月09日には同省の担当者が「条件は満たしている」と説明していたにもかかわらず、直前での方針転換は現場に大きな混乱を招いています。SNS上でも「条件を満たしているのに後出しジャンケンはひどい」といった同情の声がある一方で、「北海道3強の一角が中小企業扱いは違和感がある」という冷静な意見も飛び交いました。
巨大な「中小企業」への疑問と、競合他社が抱く本音
客観的に見れば、コープさっぽろの2018年度の事業高は2834億円に達しており、イオン北海道やアークスと並び、北海道の流通業界で覇を競う巨大勢力であることは間違いありません。地元の中堅スーパー幹部からは「大手の一角であるコープが還元対象になれば、価格競争で太刀打ちできない」と危惧する声も漏れていました。今回の経産省の判断に対し、競合他社からは安堵の溜息が漏れているのが実情であり、公平性の観点からは妥当な決断だったと言える側面もあります。
一方で、経産省の対応の遅さは厳しく批判されるべきでしょう。コープ側は早い段階から何度も確認を重ね、システム改修などの投資を行って準備を整えてきました。ルール上の数値を満たしている以上、心情的には「裏切られた」と感じるのも無理はありません。制度の定義が曖昧なまま見切り発車した結果、民間企業が振り回される形となった今回の騒動は、政策運営の難しさと、準備不足による歪みを露呈させてしまったのではないでしょうか。
今後、大手コンビニチェーンなどは自己負担による実質2%の値引きを打ち出す方針ですが、かつての経営危機を乗り越え、過疎地での移動販売や公共性の高い事業を担うコープには、そこまでの資金的な余裕はないと見られています。国費による補助を前提としていた戦略が崩れた今、2019年10月以降の負担増に対してどのような独自策を打ち出すのか。北の大地の消費者の目を釘付けにする、次の一手が注目されます。
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