2019年10月1日より、いよいよ消費税が10%へと引き上げられました。街中やニュースでも連日話題になっていますが、皆さんの生活にはどのような変化があったでしょうか。増税直前の2019年9月下旬には、小売店による熾烈な販促合戦が繰り広げられていたことが、最新のデータから浮き彫りになってきました。
SNS上でも「増税前に第3のビールを箱買いした!」「日用品のストックで部屋が埋まった」といった投稿が多数見受けられ、タイムラインは大きな賑わいを見せていました。少しでも家計の負担を減らそうとする消費者の熱意が、画面越しにもひしひしと伝わってきたものです。
複雑な「軽減税率」と狙い撃ちされた酒類
今回の増税で最も私たちを悩ませているのが「軽減税率」という新しい制度だと言えます。これは、生活に不可欠な飲食料品などの税率を8%に据え置く特例措置のことです。しかし、同じ飲み物でも「お酒」はこの特例から外れ、きっちり10%の税金が課されるルールとなっています。
この仕組みの複雑さゆえに、当初は戸惑う声も少なくありませんでした。そこに目を付けたのが、日々の生活を支えるスーパーやドラッグストアなどの小売業者です。彼らは税率が上がる酒類や日用品にターゲットを絞り、「今が買い時」という強烈なメッセージを発信し始めたわけです。
データが語る「駆け込み販促」のすさまじさ
月間1000万人が利用するチラシ・買い物情報アプリ「トクバイ」の分析データを見ると、その傾向は一目瞭然でしょう。運営元のロコガイド社によれば、2019年9月22日からの1週間で、スーパーが発信した酒類の情報はなんと前年同期比の3.4倍に達していたそうです。
食品や飲料で客を呼び込む戦略をとっていたドラッグストアでも、酒類に関する情報発信は驚愕の6倍を記録しています。さらに、トイレットペーパーや紙おむつといった「軽減税率の対象外」となる日用品の発信数も2.9倍という急激な伸びを見せました。
私の視点:一時的な特需の後に来る「反動減」の恐怖
政府は2014年の消費税8%増税時の反省を踏まえて、キャッシュレス決済へのポイント還元や軽減税率といった、消費冷え込みを防ぐ多角的な対策を用意してきました。それにもかかわらず、最終的には身近な小売店の猛烈な「駆け込み喚起」によって、消費者の財布の紐が大きく緩んだ格好です。
日経POSの全国データでも、2019年9月最後の週末に日用紙製品が2.3倍、酒類が6〜7割も売り上げを伸ばしたことが証明されています。しかし、私がインターネットメディアの編集者として危惧しているのは、この10月以降にやってくる「反動減」の巨大な波にほかなりません。
2019年9月末に大きく売り上げを伸ばした商品群の中には、10月に入って早くも前年割れを起こしているものが多数見受けられます。一時的なお祭り騒ぎで売り上げを作るやり方が、結果的に長期的な消費の冷え込みを招いてしまっては本末転倒ではないでしょうか。
もちろん、消費者としては目先の「お得」を追求するのは自然な行動です。ただ、増税前のパニック的な購買行動が、果たして本当に自分たちにとって賢い選択だったのか、一度立ち止まって冷静に振り返る時期に来ていると感じます。
小売店側にも、増税というイベントに乗っかった短絡的なセールスではなく、商品の本質的な価値で勝負する姿勢が求められています。これからの日本経済を支えるのは、そのような持続可能なビジネスモデルと、私たち生活者の賢明な判断力なのです。
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