自動車部品の製造で世界をリードしてきた田中精密工業が、ついに宇宙という壮大なフロンティアへその翼を広げました。2019年09月20日、同社の子会社であるタナカエンジニアリング(富山市)が、三菱重工業が手掛ける次期基幹ロケット「H3」の主要部品を受注したことを発表し、業界に激震が走っています。
今回受注が決定したのは、ロケットの心臓部とも言えるエンジン用の燃料噴射部品と、水素や酸素の圧力を極めて精密にコントロールする機体バルブ部品の2種類です。これまで同社は試作品の提供に留まっていましたが、今回の決定により、本格的な宇宙ビジネスへの参入が現実のものとなったと言えるでしょう。
モータースポーツで磨かれた極限の加工技術
ロケットが宇宙へ飛び立つ際、エンジン内部は想像を絶する高温と高圧にさらされます。そのため、部品には非常に硬く加工が困難な「難削材(なんさくざい)」と呼ばれる特殊な合金が用いられますが、これを正確な形に削り出すには並大抵ではない技術が必要不可欠です。
タナカエンジニアリングがこの難題をクリアできた背景には、長年、過酷な自動車レース向けのエンジン部品製造で積み上げてきた圧倒的なノウハウが存在します。極限状態でのパフォーマンスを求められるレースの世界で培った職人技と最新鋭の設備が、日本の宇宙開発を支える屋台骨として認められた事実は、製造業の未来に大きな光を投げかけています。
SNS上では「地元の企業がロケットに関わるなんて胸が熱い」「自動車の技術が宇宙へ繋がるストーリーが素晴らしい」といった感動の声が溢れており、技術立国・日本の底力に多くのユーザーが熱い視線を送っています。一見すると異なる分野でも、本物の技術は領域を超えて評価されるという素晴らしい実例ではないでしょうか。
航空機産業への飛躍と宇宙ビジネスの展望
今回のH3ロケットにおける実績は、同社にとって単なる受注以上の意味を持っています。厳しい宇宙品質のハードルを越えたという証明は、今後、より大きなマーケットである航空機部品分野への受注拡大を狙う上で、これ以上ない強力なライセンス代わりとなるはずです。
個人的な見解を述べさせていただくと、昨今の宇宙開発競争において、コストダウンと信頼性の両立は最大の課題です。田中精密工業のような「モノづくりのプロ」が参入することで、日本のロケット産業はより強固なものへと進化するでしょう。2019年09月20日のこの一歩は、同社の歴史だけでなく、日本の民間企業が宇宙で躍進する記念碑的な出来事になると確信しています。
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