2019年6月21日、日本鉄鋼連盟の北野嘉久会長(JFEスチール社長)が定例記者会見に臨み、世界最大の鉄鋼生産国である中国の動向について、注目すべき見解を示されました。この会見での最大の焦点は、6月上旬に発表された中国の大手鉄鋼メーカーである宝武鋼鉄集団と馬鋼集団の経営統合です。北野会長は、この大規模な再編が、かねてより懸念されてきた中国の過剰生産能力(需要を大幅に上回る生産能力)の削減へとつながることに、強い期待感を表明されました。
当時の中国では、鉄鋼生産量がとどまることを知らない勢いで増加しており、世界的に価格下落や供給過多を招きかねない状況でした。実際、中国の国家統計局のデータによると、2019年5月の粗鋼生産量(製鋼工程を経て最初にできる鉄の塊の量)は、前年同月と比較して10%増の8909万トンに達し、なんと2ヶ月連続で過去最高を更新するという、驚異的なペースで推移していたのです。
北野会長は、この異例の生産拡大の背景には、中国政府による景気刺激策の一環として、国内でのインフラ投資が増加していることがあると分析されています。しかしながら、生産量が増え続ける一方で、中国からの鋼材輸出は2ヶ月連続で前年実績を下回っており、今後の輸出数量がどのように変化していくのかを厳しく注視していく必要がある、との認識を示されました。
日本鉄鋼業界としては、世界の鉄鋼市場の安定化のためにも、中国の生産体制の動向は極めて重要です。今回の北野会長の「再編で中国が過剰生産能力の削減に向かうことを期待したい」という発言は、単なる希望的観測ではなく、巨大な市場変動要因である中国に対する、日本側の切実な願いと戦略的な視点が込められていると言えるでしょう。中国の生産状況が改善されれば、世界の鉄鋼市場のバランスが是正され、日本鉄鋼業界にとってもより健全な競争環境が生まれる可能性を秘めているからです。
この中国鉄鋼再編と過剰生産問題に関するニュースは、SNSでも大きな反響を呼んでいました。特に「中国の生産量が過去最高を更新し続けている状況は脅威だ」「日本の鉄鋼業界が受ける影響は避けられない」「経営統合が本当に生産削減につながるのか、懐疑的な意見もある」といった、市場の不安定さに対する懸念や、今後の展開を見守る声が多く見受けられました。一方で、「中国が本気で構造改革に乗り出すなら、世界経済全体にはプラスに働くだろう」と、前向きな変化に期待するコメントも一部には存在しました。
私自身、編集者としてこの問題を見るとき、中国という巨大な経済圏の動向は、日本のみならず世界中の産業に波及する重大なテーマだと感じています。特に鉄鋼は「産業の米」とも呼ばれる基幹素材であり、その需給バランスが崩れることは、様々な製造業のコスト構造に影響を与えかねません。北野会長の期待が現実のものとなり、中国が持続可能な成長と、責任ある世界市場への貢献へと舵を切ることを、強く望むばかりです。
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