2019年09月23日、東京都江東区にある墨田工業高校では、未来の建設業界を担う若者たちが真剣な眼差しで鉄パイプと向き合っていました。建築科の授業の一環として行われているのは、鉄パイプを組み上げて小屋を完成させるという、非常に実践的な内容です。彼らの目標は、国家資格である「とび技能士」の試験合格にあります。
現場ではベテランの現役とび職人が講師として招かれ、生徒たちへ直接厳しい指導を行っています。とび職とは、建設現場において高所での作業を専門とし、足場の組み立てや鉄骨の建方などを担う、まさに現場の華とも言える専門職です。その技術を習得するため、生徒たちは一線級のプロから職人魂を継承している最中なのです。
この日の実習は、あいにく雨が降ったりやんだりという不安定な天候に見舞われました。鉄パイプ同士を連結させる「クランプ」と呼ばれる締結金具を取り付ける際も、少しの油断が大きな事故に繋がりかねません。滑りやすい足元に細心の注意を払いながら、高所に立つ生徒たちの表情には、普段の学校生活では見られないような緊張感が漂っています。
ベテラン講師からは「角度が違う」と鋭い指摘が飛び、現場にはピリリとした空気が流れます。建築の世界では、わずか1ミリに満たないような微細なズレが、構造物全体の歪みや不具合を招く原因となり得ます。制限時間が刻々と迫るなかでも、彼らは正確さとスピードの狭間で葛藤しながら、慎重に作業を積み重ねていくのです。
SNS上では、こうした工業高校の取り組みに対して「若いうちからプロの厳しさに触れるのは素晴らしい」「職人不足の時代に心強い存在だ」といった称賛の声が数多く寄せられています。スマートフォンの画面越しに世界が完結しがちな現代において、自らの手で実体のあるものを造り上げる彼らの姿は、多くの人々に感動を与えているのでしょう。
私自身、こうした現場教育の重要性は計り知れないと感じます。教科書の上だけでは決して学べない「現場の空気感」や「命を守るための責任感」を、10代のうちに肌で感じる経験は一生の財産になるはずです。技術を磨くことは、単に資格を取ることではなく、社会を支える土台を作る誇りを育む過程そのものではないでしょうか。
コメント