世界的に深刻な課題となっている食品廃棄問題に、革新的な光が差し込んでいます。2019年9月30日現在、アメリカでは人口の8分の1が飢えに苦しむ一方で、生産された食品の4分の1が捨てられるという皮肉な現実が存在しているのです。さらに驚くべきことに、これらの廃棄食品が排出する温室効果ガスは、世界全体の総排出量の約8%を占めると言われています。この地球環境への負荷を軽減すべく、カリフォルニア州の「アピール・サイエンシズ社」が画期的な技術を世に送り出しました。
同社が開発したのは、青果物の鮮度を驚くほど長持ちさせる植物由来のコーティング技術「アピール」です。野菜や果物が腐敗する主な原因は、時間の経過とともに内部の水分が失われる「蒸散」と、空気に触れて細胞が劣化する「酸化」にあります。アピールはこの二つのプロセスを劇的に遅らせることで、収穫後の鮮度を従来の2倍以上も維持することを可能にしました。まさに、自然の力を利用して時を止めるような、魔法のような技術といえるのではないでしょうか。
植物由来で安心!「GRAS基準」をクリアした驚きの成分
このコーティング剤の正体は、実は私たちが日頃から口にしている果物の皮や種から抽出された「脂質」や「グリセロ脂質」という成分です。グリセロ脂質とは、植物の組織を保護するために自然界に備わっている脂の一種で、これを液体状にして青果物に吹き付けるか、液体に浸してから乾燥させて使用します。無色・無臭・無味であるため、食品の風味を一切損なうことがありません。SNSでは「見た目も味も変わらないのに、数日経ってもツヤツヤ!」と驚きの声が広がっています。
口に入れるものだけに安全性も気になりますが、その点も抜かりはありません。アピールは米国食品医薬品局(FDA)が定める「GRAS基準」を満たしています。これは、食品添加物として一般的に安全であると認められる非常に厳しい基準です。また、アレルギー規制の対象となる成分も含まれていないため、小さなお子様がいるご家庭でも安心して手に取ることができるでしょう。保存のための冷蔵設備を最小限に抑えられる点も、物流コスト削減における大きなメリットとなります。
大手スーパーも導入!全米1100店舗へ広がるインパクト
アピール製品の第一弾として選ばれたのは、変色が早いことで知られるアボカドでした。昨年、全米最大手の食品スーパー「クローガー」がテスト導入したところ、驚異的な結果を叩き出しています。アピール社によれば、廃棄が減ったことで利益率が65%向上し、売上も10%増加したというのです。これを受け、2019年9月に入ってからクローガーは全米1100店舗以上での本格展開を決定し、取り扱い品目もアスパラガスやライムへと順次拡大させています。
この勢いは投資家たちの目も釘付けにしており、ビル&メリンダ・ゲイツ財団などから総額1億1000万ドル(約118億円)もの資金を調達しました。さらに、あのホールフーズの共同創業者であるウォルター・ロブ氏も取締役に名を連ねるなど、業界の重鎮たちも熱い視線を送っています。単なる「延命措置」ではなく、廃棄を減らし、収益を高め、地球を救う。この三方よしのテクノロジーが、これからの食品流通のスタンダードになる日はそう遠くないはずです。
私自身、この記事を執筆しながら、技術の進歩がこれほどまでにダイレクトに社会貢献へつながる様子に感動を覚えています。これまでは「鮮度が落ちる前に早く売る」ことしかできませんでしたが、これからは「鮮度を保って大切に届ける」という価値観が主流になるでしょう。2019年9月30日、このアピール社の躍進は、日本のスーパーでも同様の技術が見られる未来を予感させます。食品廃棄ゼロという大きな夢に向けた、確かな一歩が今まさに踏み出されたのです。
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