自動車用照明の世界シェアでトップクラスを誇る小糸製作所が、2019年9月27日に新たな人事異動を公表しました。今回の組織改編は2019年10月1日に施行される予定で、特に注目を集めているのがアジア圏、とりわけ中国市場における研究開発の地盤を固める動きです。常務執行役員の勝又敏行氏が「中国開発体制準備室長」に就任するという攻めの姿勢が見て取れます。
これまでの体制でも勝又氏は同準備室を担当していましたが、今回の異動で正式に「室長」という肩書きを背負うことになりました。技術本部の副本部長という要職を兼務しながらの着任は、企業としての本気度の表れと言えるでしょう。SNS上では「CASE対応を急ぐなか、最大の市場である中国での現地開発を加速させるのは賢明な判断だ」といった、業界の先行きを見据えた好意的な反応が寄せられています。
ここで「CASE」という専門用語について触れておきましょう。これは、自動車業界の変革期を象徴する「Connected(つながる)」「Autonomous(自動運転)」「Shared & Services(共有)」「Electric(電動化)」の頭文字を取った言葉です。小糸製作所が得意とするランプ技術は、センサーを組み込むなど自動運転において極めて重要な役割を果たすため、中国での現地最適化は避けて通れない課題なのです。
今回の人事では、現場を支える技術職の配置換えも同時に行われます。実験部門のトップには、これまで静岡第1設計で手腕を振るってきた岩見明久氏が抜擢されました。長年培われた設計の視点を実験のプロセスに持ち込むことで、製品の安全性や信頼性をより高めることが期待されています。多角的な視点から品質を追求する同社のストイックな姿勢は、投資家の間でも信頼感を生んでいます。
さらに、中国拠点の要職を務めてきた池田美己氏が、新たに静岡第1設計のリーダーとして国内へ戻ることも発表されました。広州小糸車灯の副総経理(日本で言う副社長にあたる役職)という、巨大な中国工場の経営に携わった経験は、国内の設計現場に新しい風を吹き込むはずです。グローバルな知見が国内のモノづくりに還元されるサイクルは、企業の持続的な成長において理想的な形と言えるでしょう。
私個人の見解としては、この人事から「開発の現地化」に対する強い危機感と決意を感じます。世界的に見て中国は、電気自動車(EV)や自動運転の社会実装が非常に速いスピードで進んでいる地域です。そこでの開発スピードを上げることは、日本企業のグローバル競争力を維持する鍵となります。今回の組織強化が、次世代モビリティ社会において日本の技術が世界をリードし続けるための大きな一歩となることは間違いありません。
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