2009年9月30日に埼玉県熊谷市で発生した、小学4年生の男児が命を落とした痛ましいひき逃げ事件。この未解決事件を巡り、2019年9月27日、埼玉県警は衝撃的な不祥事を発表しました。証拠品として保管されていたはずの男児の腕時計を紛失し、さらにその事実を組織的に隠蔽しようとしたとして、当時捜査に当たっていた61歳の男性元警部補が書類送検されたのです。
今回、元警部補に適用された容疑は「公文書毀棄(きき)」および「虚偽有印公文書作成・同行使」という重いものです。公文書毀棄とは、公的な書類を破棄したり隠したりして、その効力を失わせる行為を指します。また虚偽有印公文書作成とは、公務員が職務上で作成する文書に、事実とは異なる嘘の内容を記載すること。法を守るべき立場にある警察官が、自らのミスを隠すために公的な記録を改ざんするという、あってはならない事態が浮き彫りになりました。
事件の詳細によれば、元警部補は証拠品の目録から腕時計の記載を削除し、文書を破棄することで、最初から遺品が存在しなかったかのように装ったとされています。大切な家族を亡くし、せめて遺品だけでも手元に置いておきたいと願う遺族の切実な気持ちを無視したこの行為は、捜査機関に対する信頼を根底から揺るがすものでしょう。SNS上では「遺族を二度傷つける行為だ」「隠蔽体質が変わっていない」といった、警察の姿勢を厳しく批判する声が相次いでいます。
編集者としての意見を述べさせていただきます。捜査の過程でミスが起こることは避けられない側面もありますが、それを隠蔽するために公文書を偽造することは、司法制度そのものを否定する暴挙と言わざるを得ません。特に時効が撤廃されたひき逃げ事件において、証拠品は犯人逮捕に繋がる唯一の希望です。その希望を自らの保身のために握りつぶした罪は、単なる書類上の不正以上の重みを持っていると私は強く感じます。
今回の書類送検によって、組織内部の膿が完全に出し切られることを願わずにはいられません。被害者の男児が身に着けていた腕時計は、今もどこかで失われたままなのでしょうか。2019年9月28日現在、事件発生から10年が経過しようとしていますが、警察には隠蔽の過去を猛省し、本来の目的である犯人の検挙に全力を注いでほしいと切に願います。真実が明らかになるまで、私たちはこの問題を注視し続ける必要があるでしょう。
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