2019年10月01日、日本銀行が発表した「企業短期経済観測調査」、通称「日銀短観」の結果が大きな注目を集めています。今回の調査では、日本経済が海外からの冷たい逆風にさらされつつも、なんとか踏みとどまっている現状が浮き彫りとなりました。SNS上では「製造業の景況感が厳しい」といった懸念の声が上がる一方で、「内需はまだ底堅いのでは?」といった期待も入り混じり、今後の経済の行方に熱い視線が注がれています。
日銀短観とは、日本銀行が全国の約1万社を対象に四半期ごとに実施する、景気の「体感温度」を測るアンケート調査のことです。今回の発表で最も話題を呼んでいるのが、景気のバロメーターとされる「大企業・製造業」の業況判断指数でしょう。この指数は3四半期連続で悪化し、プラス5という結果に終わりました。世界を揺るがす米中貿易摩擦や欧州経済の停滞が、日本のメーカー各社に影を落としている事実は否定できない状況です。
具体的に業種別で見ていくと、中国経済や国際市況の動向をダイレクトに受ける非鉄金属や石油・石炭製品がマイナス18と、非常に厳しい数字を叩き出しています。しかし、全てが暗雲に包まれているわけではありません。日本の産業の屋台骨である電気機械はプラス5と、わずかながら改善の兆しを見せました。これは長らく続いていた在庫の調整がようやく一段落し、次なるステップへの準備が整いつつあることを示唆しているでしょう。
世界景気の先行きが不透明な中で、日本経済の「命綱」となるのは、国内の需要、いわゆる内需に支えられた非製造業の存在です。大企業・非製造業の指数はプラス21を維持しており、依然として多くの企業が景気は「良い」と感じている様子が伺えます。特に、都市開発に沸く建設や不動産、深刻な人手不足を背景に需要が急増している人材派遣などの対事業所サービスが、現在の日本経済を力強く牽引していると言えるでしょう。
人手不足とデジタル化が握る未来への鍵
しかし、手放しで喜べる状況ではないのも事実です。2020年に控えた東京五輪・パラリンピック関連の建設特需はピークを越えつつあり、大会後のインバウンド需要の持続性についても慎重な見方が増えています。また、人材派遣業が活況を呈しているのは、それだけ日本全体が深刻な「働き手不足」に直面していることの裏返しでもあります。この状況を打破するためには、企業のあり方を根本から見直す時期が来ているのかもしれません。
こうした課題を解決する一手として期待されるのが、AIやITを活用した「省力化投資」です。幸いなことに、2019年度の設備投資計画は前年比5.8%増と、企業が将来の成長に向けて積極的な姿勢を崩していない点は非常に心強い材料でしょう。無駄を省き、生産性を高めるためのデジタル化は、もはや選択肢ではなく、この激動の時代を生き残るための必須条件であると私は確信しております。
そして2019年10月01日、ついに消費税率の引き上げが実施されました。5年前の前回増税時と比較すると、直前の「駆け込み需要」による混乱は限定的だったとの見方が広がっています。政府によるきめ細かな対策が功を奏し、内需主導の成長を維持できるかどうかが、今まさに試されているのです。私たちは今、官民一体となって、この歴史的な転換期を冷静に乗り切るための「知恵」と「実行力」が求められています。
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