九州の経済拠点として注目を集める福岡市ですが、2019年10月16日現在、カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致に関する動向に大きな区切りが打たれました。高島宗一郎市長は、市内へのIR誘致について「現時点では考えていない」と明言し、期待を寄せていた一部の経済界へ慎重な姿勢を示したのです。
事の発端は、2019年09月30日に福岡青年会議所(JC)が市に対して提出した提言書にあります。この中では、西戸崎や志賀島、さらに九州大学箱崎キャンパス跡地といった具体的な候補地を挙げ、地域活性化の起爆剤としてIRを推進するよう求めていました。
これに対し、高島市長は2019年10月01日の会見で、議論を行うこと自体には意義があると評価しつつも、ギャンブル依存症といった社会的問題を放置できないと指摘しています。市民の生活を守る責任者として、懸念事項を解消できない段階での決断は時期尚早であるという判断でしょう。
他都市との競争と「時間切れ」の現実
IR、すなわち統合型リゾートとは、カジノだけでなく国際会議場やホテル、ショッピングモールを一体化させた施設を指します。すでに横浜市や大阪市が名乗りを上げており、全国で激しい争奪戦が繰り広げられていますが、福岡市はあえてこのレースから距離を置く形となりました。
市長は、国が定める認定スケジュールを鑑みても、今から準備を始めるのは「時間的に厳しい」と吐露しています。SNS上では「賢明な判断だ」「観光資源が豊富な福岡にカジノは不要」といった賛成意見がある一方で、「経済成長のチャンスを逃すのではないか」という不安の声も散見されます。
私個人の見解としては、福岡市が持つ独自の魅力を活かすならば、無理にIRに頼る必要はないと感じます。強引な開発で都市のブランドを毀損するよりも、まずは依存症対策などの制度設計を優先する高島市長のバランス感覚は、長期的な視点に立った誠実な政治判断と言えるのではないでしょうか。
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