2019年10月14日に神奈川県沖の相模湾で華々しく開催される予定だった海上自衛隊の「観艦式」が、猛威を振るう台風19号の影響により急遽中止されることになりました。河野太郎防衛相は2019年10月13日、各地で相次ぐ甚大な被害を鑑み、人命救助や復旧支援といった災害対応を最優先する決断を下しています。
観艦式とは、自衛隊の艦艇や航空機が一堂に会し、部隊の精強さを披露する海自最大の記念行事です。2015年以来、4年ぶりの開催を待ち望んでいたファンも多く、令和初となる晴れ舞台の中止は、防衛相自ら「誠に残念」と語るほど苦渋の選択であったことが伺えます。
SNS上では、楽しみにしていた方々からの落胆の声が上がる一方で、国民の安全のために即座に災害派遣へと舵を切った自衛隊に対し、「今は救助活動を最優先してほしい」「現場の隊員の皆さんは頑張ってください」といった温かい激励や応援のコメントが数多く寄せられています。
多国間防衛交流と日中韓の複雑な外交背景
本来、今回の観艦式には米国や英国、カナダをはじめ、初参加となる中国など過去最多の7カ国が出席する予定でした。特に注目すべきは、2019年10月10日に横須賀港へ入港した中国海軍の最新鋭ミサイル駆逐艦「太原」の来航で、これは2018年に合意された日中の艦艇相互訪問に基づく歴史的な一歩です。
駆逐艦(くちくかん)とは、多目的で高速な軍艦を指し、対空・対水上・対潜水艦など幅広い攻撃と防御の役割を担う現代海軍の主役です。一方で、日韓関係の冷え込みを背景に韓国軍は招待されず、2015年に韓国が初参加した際に見られた防衛協力の機運は、現在停滞を余儀なくされています。
各国艦艇は、式典の中止を受けて台風を避ける安全な地域へと退避していましたが、海自はこの貴重な寄港機会を活かし、一部の国と太平洋沖での共同訓練を行う見通しです。式典自体は中止となりましたが、各国の防衛交流が絶えることはなく、海の上では着実に信頼関係の構築が進められているといえるでしょう。
災害という不測の事態に際し、自衛隊が「式典」よりも「実働」を迷わず選択したことは、国民の生命を守る組織として極めて真っ当かつ迅速な判断だと私は考えます。華やかなパレードは見られませんが、被災地で泥にまみれて活動する姿こそが、自衛隊の真の信頼を築くのではないでしょうか。
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