2019年10月30日、厚生労働省と財務省は介護保険制度における「補足給付」の対象を大幅に縮小する方針を固めました。これは特別養護老人ホームなどの施設に入所する低所得者の食費や居住費を支える大切な制度ですが、今回の見直しで預貯金などの金融資産基準が現在の「1000万円以下」から「6000万円以下」へと厳格化される見通しです。
高齢化に伴い膨らみ続ける介護給付費を約480億円抑制することが狙いとされていますが、このニュースはSNSでも大きな波紋を呼んでいます。「老後のために貯めたお金が原因で補助が受けられなくなるのは本末転倒だ」という悲痛な声や、「在宅介護との公平性を考えれば妥当だ」という冷静な意見が入り混じり、議論が白熱している状況です。
補足給付の基準変更がもたらす家計へのインパクト
そもそも「補足給付」とは、住民税非課税世帯の方々が施設を利用する際、食費や住居費が生活を圧迫しないよう公費で補填する仕組みを指します。今回の案では、単身者の資産基準が600万円に引き下げられるだけでなく、夫婦合算の基準も2000万円から1600万円へと減額される方向で調整が進んでおり、資産を持つ高齢者への負担増が鮮明になっています。
さらに、年金収入が年120万円を超える方については、資産額に関わらず食費の補助を打ち切る案も浮上しました。現在、この制度は約100万人が利用していますが、新基準が適用されれば10万人以上に影響が出る可能性があるでしょう。対象から外れた場合、月に数万円単位で自己負担が増えるケースもあり、家計へのダメージは決して小さくありません。
私自身の見解としては、制度の持続可能性を追求する政府の姿勢は理解できるものの、あまりに急激な基準変更は高齢者の生活設計を根底から揺るがしかねないと危惧しています。一生懸命に貯蓄してきた真面目な層が損をするような仕組みではなく、誰もが安心して老後を迎えられるセーフティネットの構築こそが、今の日本には必要なのではないでしょうか。
施設退去の懸念と今後の法改正スケジュール
この見直しには「施設を退去せざるを得ない人が出るのではないか」という根強い不安がつきまといます。政府は生活に困窮する方への「減免制度」活用を促すとしていますが、現場の混乱は避けられないでしょう。2020年の通常国会での関連法改正案成立を目指し、今後、社会保障審議会での議論が本格化していく予定ですので、その動向から目が離せません。
コメント