今、日本のエネルギー業界で熱い視線を浴びているのが「中小水力発電」です。これは出力3万キロワット未満の比較的小規模な発電施設を指し、既存の農業用水路やダムの放流などを活用して電気を作る画期的な仕組みとして注目されています。
なぜこれほどまでに脚光を浴びているのか、その最大の理由は国の「固定価格買い取り制度(FIT)」にあります。これは再生可能エネルギーで発電した電気を、国が定める一定価格で電力会社が買い取ることを約束する制度のことで、事業の安定性を支えています。
2019年現在の状況を見ると、太陽光発電の買い取り価格が下落傾向にある一方で、中小水力は1キロワット時あたり20円から34円という極めて有利な価格が維持されています。この「高値安定」の状況が、多くの企業の参入を力強く後押ししているのです。
SNS上でも「川の流れで堅実に稼げるのは魅力的」「環境負荷が少なくて応援したい」といった好意的な意見が多く見られます。太陽光のように天候に左右されず、24時間安定して発電できる「ベースロード電源」としての信頼感も人気の秘訣と言えるでしょう。
異業種からも続々と!参入企業とメーカーの熱い攻防
この商機を逃すまいと、建設業界大手の清水建設は2019年01月に中小水力事業への本格参入を表明しました。2030年までに国内10カ所程度の発電所を開発し、合計1万キロワットの出力を確保して20億円の売り上げを目指すという壮大な計画です。
また、製紙業界の雄である王子製紙も動き出しています。北海道の苫小牧工場にある既存設備を更新し、1万9000キロワットの出力を活用した売電事業を開始しました。紙の需要が減る中で、新たな収益の柱として「水」の力を活用する戦略に出ています。
こうした需要拡大に、設備メーカーも活況を呈しています。富士電機では案件数が前年比3割増という驚異的なペースで推移しており、火力発電部門の精鋭を投入して水車や発電機のシェアを現状の2割から3割へ引き上げるべく、攻めの姿勢を崩していません。
さらに明電舎は2019年06月に水車メーカーを子会社化して体制を強化し、リコーは量産化を目指して超小型水車の実証実験を重ねています。これほど多様なプレイヤーが競い合う姿は、まさにこの分野が持つポテンシャルの高さを物語っていると感じます。
日本の底力を呼び覚ます1000万キロワットの可能性
経済産業省の推計によれば、日本国内にはまだ原発10基分に相当する約1000万キロワットの中小水力発電の余地が眠っています。まさに「資源大国・日本」を再発見するプロジェクトであり、地方創生の切り札としても大きな期待がかかります。
既存の電力会社もこの動きに同調しており、東京電力ホールディングスは5カ所の設備更新を進め、中部電力は長野県で2022年の運転開始を目指して5600キロワットの新設を決定しました。自ら電力を買い取る立場であっても、投資価値が高いと踏んだ結果です。
もちろん課題も存在します。今後は険しい山岳地帯での開発が増えるため、工事コストの上昇や電気を運ぶための送電線の確保がネックになるでしょう。しかし、技術革新によるコスト低下が進めば、これらの壁を乗り越えることは十分に可能だと思われます。
編集者の私見として、中小水力は単なるビジネスチャンスに留まらず、地域のエネルギー自給率を高める「希望の光」だと確信しています。豊かな水資源を持つ日本だからこそ、この自然の恵みを最大限に活かす知恵が、これからの未来を創るはずです。
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