2016年の国民投票以来、出口の見えない迷路を彷徨い続けてきた英国の欧州連合(EU)離脱問題がついに大きな転換点を迎えようとしています。2019年10月29日、ジョンソン首相が提案した12月の総選挙実施に向けた特例法案に対し、これまで慎重な姿勢を崩さなかった最大野党の労働党が賛成方針へと劇的に舵を切りました。これにより、2019年12月12日に総選挙が行われる公算が極めて大きくなっています。
労働党を率いるコービン党首は、EU側が離脱期限を2020年1月31日まで延長することを決定した点に触れ、経済的な大混乱を招く恐れがあった「合意なき離脱」の懸念がひとまず払拭されたと説明しています。SNS上では「ようやく決着がつくのか」「クリスマス前の選挙は異例だ」といった期待と不安が入り混じった声が飛び交い、国民の関心は最高潮に達しています。
機能不全の議会を打破するジョンソン首相の勝負手
ジョンソン首相は2019年10月28日の議会において、自らの解散動議が否決された直後「この議会は機能不全に陥っている」と強い言葉で批判を展開しました。首相が目指すのは、新たな議会を構成することで現状の膠着状態を打破し、2020年1月末までの離脱を確実に実現することです。今回提出された「特例法案」は、通常の解散に必要な3分の2以上の賛成ではなく、過半数の支持で成立させることが可能な戦略的な一手と言えます。
ここで注目すべきは、これまで与党と対立してきた少数野党の動きです。EU残留を強く主張するスコットランド民族党(SNP)や自由民主党は、早期の選挙を「事実上の再国民投票」と位置づけ、有権者の審判を仰ぐことに前向きな姿勢を見せていました。ジョンソン政権が「選挙前の離脱を強行しない」という譲歩案を提示したことで、これら野党との合意形成が進み、労働党は孤立を避けるために賛成せざるを得ない状況に追い込まれたのが実情でしょう。
保守党の独走か、野党の逆転か。12月決戦の展望
最新の世論調査によれば、与党・保守党の支持率は約36%に達しており、2位の労働党を13ポイントも引き離す独走態勢を築いています。英国の選挙制度は「小選挙区制」を採用しているため、第一党が議席を独占しやすい傾向にあります。小選挙区制とは、一つの選挙区から最も票を集めた候補者一人だけが当選する仕組みで、死票が多くなる反面、安定した政権基盤を作りやすいという特徴を持っています。
私自身の見解としては、今回の総選挙は単なる政権選択にとどまらず、英国という国家のアイデンティティを問う「究極の選択」になると感じています。野党側が候補者調整などの選挙協力を実現し、保守党の過半数獲得を阻止できるかどうかが焦点となるでしょう。混迷を極めたブレグジットの物語が、2019年12月12日の投開票をもってどのような結末へ向かうのか、世界中がその動向を注視しています。
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