EU離脱でもロンドンの地位は揺るがない?バークレイズCEOが語る金融市場の未来と「日本化」する欧州の懸念

2019年10月30日、東京で開催された「日経フォーラム世界経営者会議」にて、英金融大手バークレイズ・グループのジェス・ステイリーCEOが登壇しました。混迷を極めるEU離脱(ブレグジット)問題の渦中にありながら、同氏はロンドンが今後も世界の金融センターであり続けると力説しています。長年築き上げられた資産運用の専門家集団や強固なビジネス環境、いわゆる「エコシステム」は、一朝一夕に他都市へ移転できるものではないという自負が感じられました。

SNS上では「やはりロンドンの代替は簡単ではない」という納得の声がある一方で、「政治の混迷が長引けば、その優位性も崩れるのではないか」と危惧する意見も散見されます。ステイリー氏は、顧客への影響を最小限に抑えるため、資産やリスク管理機能をアイルランドのダブリンへ戦略的に移転したことを明かしました。これは、不測の事態に備えつつ、欧州でのサービスを維持するための「攻めの守り」と言える高度な経営判断といえるでしょう。

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低金利政策の限界と「日本化」への警鐘

ステイリー氏が特に強い関心を寄せたのが、欧州経済が日本のような長期的な停滞、いわゆる「日本化(ジャパナイゼーション)」に陥る可能性です。日本銀行が先んじて導入したマイナス金利政策により、膨大な国債がマイナス金利という異例の状態にあります。金利を下げることで経済を刺激する従来の手法は、もはや成長を促進する力を失いつつあると、同氏は冷静に分析しています。金融のプロとして、現在の状況に危機感を抱いていることが伝わります。

私自身の見解としても、中央銀行の緩和策に頼り切った経済構造は、将来的な「歪み」を生むリスクが高いと感じます。ステイリー氏は過去の金融危機を振り返り、「ソブリン債(国が発行する公的な債券)はデフォルトしない」といった当時の「常識」がいかに脆く、誤解に満ちていたかを警告しました。歴史を教訓にするならば、低金利で借金が容易な現在の状況を楽観視せず、潜在的なリスクを直視する姿勢が求められているのでしょう。

グローバル供給網の転換点とアジア市場への期待

さらに話題は、世界経済を揺るがす貿易摩擦とサプライチェーン(製品が消費者に届くまでの供給網)の問題に及びました。部品が国境を何度も跨いで製品化される従来の効率重視モデルが、関税障壁によって疑問視されています。バークレイズにとって、2019年で進出50周年を迎えた日本は非常に重要な市場です。東京のM&A市場や香港の動向を注視しつつ、変化の激しい時代に対応する柔軟な姿勢が、これからの銀行経営には不可欠となるでしょう。

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