2019年10月19日の東京商品取引所において、原油先物相場は上昇に転じる動きを見せました。市場のセンチメントを明るくさせた最大の要因は、イギリスと欧州連合(EU)の間で離脱に関する新協定案が合意に達したというニュースです。この歴史的な進展を受け、投資家の間では「合意なき離脱」という最悪のシナリオが回避されるとの期待が急速に高まり、リスク資産である原油にも買い注文が集まりました。
同時進行で株式相場が堅調に推移したことも、エネルギー需要の先行きに対する安心感を強めたようです。こうした「リスクオン」の状態、つまり投資家がより高い収益を求めてリスクを取る姿勢が強まったことで、相場全体を押し上げるパワーが生まれました。SNS上でも「ようやく離脱問題に光が見えた」「世界景気への懸念が和らいだ」といった、安堵と期待が入り混じった投稿が目立ち、投資マインドの改善が肌で感じられる状況となっています。
供給過剰の懸念が上値を抑える?市場が注視する需給バランス
しかし、今回の上昇幅は限定的なものにとどまっている点には注意が必要でしょう。価格の重荷となったのは、前日に発表されたアメリカの原油在庫統計です。在庫量が増加したことが判明し、供給が需要を上回っているのではないかという「需給の緩み」が強く意識されました。原油先物とは、将来の特定の時期に受け渡しする原油の価格を現時点で約束する取引のことですが、現物のダブつきは将来の価格上昇を阻む大きな壁となります。
編集者としての私見ですが、政治的な地政学リスクの緩和は一時的なお祭り騒ぎになりがちです。イギリスの離脱案が議会でスムーズに承認されるかは不透明であり、実体経済における原油の必要性が劇的に増えるわけではありません。また、アメリカのシェールオイル増産が続く中では、今回のような反発はあくまで短期的な揺り戻しと捉えるのが賢明ではないでしょうか。足元のプラス材料に浮足立たず、需給の実態を冷静に見極める眼力が必要とされる局面です。
コメント