横断歩道は歩行者の聖域!2018年に過去最多18万件超の摘発、警察庁が取り締まりを強化する背景とは?

道路を渡ろうとする歩行者がいるのに、そのまま走り去る車を見かけることはありませんか。警察庁が2019年10月21日に発表したまとめによると、2018年1月の1年間で、全国の警察が「横断歩行者妨害」として摘発した件数は18万1290件に達しました。これは前年比で3万5000件以上の大幅な増加であり、統計上、過去最多を記録しています。

SNS上では「ようやく本腰を入れたか」「横断歩道で止まらない車が多すぎる」といった、取り締まり強化を歓迎する声が目立ちます。一方で、歩行者側からも「車が止まってくれるか不安で渡り出せない」という切実な意見が寄せられており、日本の交通文化における課題が浮き彫りになっています。道路交通法というルールが、いかに現場で軽視されてきたかが伺える数字と言えるでしょう。

スポンサーリンク

歩行者優先を定める「横断歩行者妨害」の仕組み

ここで改めて、「横断歩行者妨害」という言葉について解説しましょう。これは道路交通法第38条に定められた義務に違反することを指します。車やバイクの運転者は、横断歩道に歩行者がいる場合はもちろん、渡ろうとしている人がいる際にも、その直前で一時停止しなければなりません。つまり、歩行者の通行を妨げる行為は明確な法律違反なのです。

この違反に対する行政処分は、普通車の場合で反則金9000円、違反点数は2点が付与されます。さらに悪質なケースや事故に繋がった場合には、刑事罰として3カ月以下の懲役、または5万円以下の罰金が科せられる可能性もあるのです。2013年1月時点では約8万件弱だった摘発件数が、わずか5年で2倍以上に膨れ上がった事実は、警察側の監視の目が格段に厳しくなっている証拠です。

興味深いことに、警察庁のデータでは最高速度違反やシートベルト着用義務違反の摘発数は、2013年1月からの5年間でほぼ半減しています。これは運転者の意識向上というよりは、警察がより重大な事故に直結しやすい「歩行者保護」へと、取り締まりの優先順位をシフトさせているからではないでしょうか。命を守るための妥当な判断だと私は考えます。

死亡事故の7割が道路横断中に発生している現実

なぜここまで厳格な対策が求められているのか、その理由は痛ましい事故統計にあります。過去5年間で発生した車対歩行者の死亡事故6275件のうち、実に約73%にあたる4559件が道路横断中に起きています。特に信号機のない横断歩道での死傷者は、2013年1月以降、毎年4000人台半ばという高い水準で推移しており、事態は極めて深刻です。

2018年10月に警察庁は全国の警察に対し、広報啓発の徹底を指示しました。2019年9月21日から2019年9月30日までの秋の全国交通安全運動でも、歩行者優先が重点項目として掲げられています。2020年に東京五輪・パラリンピックを控え、多くの外国人が訪れる日本において、国際標準である「歩行者優先」を定着させることは急務なのです。

歩行者がいれば必ず止まる。この当たり前の動作が徹底されない背景には、運転者の「急ぎ」や「だろう運転」があるはずです。横断歩道の手前には、必ず菱形の道路標示が描かれています。これを見たらアクセルを緩めるという基本を、私たち一人ひとりが再認識すべき時期に来ています。誰もが安心して道を渡れる社会こそが、真の交通先進国と呼べるのではないでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました